中期問題の解決はともかく生産性をあげることができるかにかかっているわけですが、そのための課題として「地方政府の暴走、産業政策の弊害、富が家計に移転されていない、民営経済の退潮、都市と農村の二元構造の解消」といった問題があげられています。基本的には市場と民間企業にどこまで任せられるかが課題となるわけですが、20世紀末から21世紀初頭、WTO加盟に際して一瞬そうしたムードが盛り上がった後、民間企業は「裏切られた」と著者は評しており、中国政府がこの課題にどこまで切り込めるのかも辛口な評価です。 ■一投資家の体験談 この中期問題ネタでなんといっても面白いのが「第6章 民営経済の退潮 一投資家の体験談」でしょう。投資ファンド屋として中国に関わっていた著者の体験談がてんこ盛りなのですが、なんとも生々しい話ばかり。著者が経営していた工業団地会社のために地場銀行から運転資金を借り入れる際のエピソードですが