今回の選手権決勝、井田勝通氏は静岡学園のベンチで戦況を見守った。対戦相手の選手として水沼貴史氏も“静学”と井田イズムの凄みを味わった1人だ。 <第98回高校サッカー選手権を制した静岡学園。その静岡学園が初めて決勝の舞台に登場したのは、1977年1月の第55回大会。相手は水沼貴史氏を擁する浦和南だった。連覇を狙う浦和南は当時1年生だった水沼氏のアシストにより試合を大きくリードしたが、じわりじわりと追い詰める静岡学園の個人技に苦しみ、終わってみれば「5-4」。打ち合いに勝利こそしたものの、「史上最高の決勝戦」で見せた静学スタイルは、いまもなお、水沼氏の記憶に色濃く残っているという。> 「静岡学園との決勝」といえば……実は私も対戦経験があります。当時は開催地が首都圏に移転して初の高校サッカー選手権とあって世間からも大きな注目が集まっていました。浦和南の立場としては「首都圏の学校が勝たないと高校サ
'18年7月22日、イニエスタの神戸でのデビュー戦を取材したときのことだ。誰だったか失念してしまったのだが、試合後のミックスゾーンで攻撃陣の選手がこんな不安をもらしていた。 「イニエスタは思いのほか“速い”から、脚が遅いと思われないか心配」 その試合でも顕著だったが、イニエスタは視野が広かった。前後左右に広いのはもちろん、先の展開さえもお見通しだ。 だから、ここという場所にすばっと強いパスが出てくる。その思考の速さ、パスの強さ、それをトータルしたスピードに他の選手がついていけず、イメージを共有しきれず戸惑っているようにも見えた。その戸惑いが口をついて出たのが、このコメントだった。 対戦相手だった湘南ベルマーレの選手たちは、世界的名選手とのユニフォーム交換はできなくても写真を撮りたくて、もしくは握手をするだけでもと、ロッカーの前で待ち受けていた。 異世界からやってきた憧れの存在と国内でチーム
終わりの時が近いことを意識する長谷部誠。日々、改めて「サッカーを続ける」意義を考えるという。 「明らかに今は本当に、いわゆる引退に近づいている。サッカー選手としてはね。その中で、何のためにサッカーを続けるのかというのを、よく考えたりします」 12月18日、初冬にもかかわらず夜の匂いが温かいコメルツバンクアレナ――。 ブンデスリーガ第16節。FCケルン戦でフル出場した長谷部は、リーグ戦通算300試合出場を達成した。 アイントラハト・フランクフルトで同僚の鎌田大地は、ただ感嘆する。 「日本人がヨーロッパで、ブンデスで長い間試合に出場し続けていることは、本当にすごいことだと思います。人間性といった部分も関係あると思う。誰でもできるものじゃないし、これから先、出てくる人がいるかどうかの記録だと思いますね」 「本当に、周りに感謝しなくてはいけないですね」 2008年1月に浦和レッズからVFLヴォルフ
中島翔哉が本来の輝きを取り戻している。現地19日に行われたポルトガルカップの5回戦に先発起用されると、移籍後初ゴールを決めてポルトを準々決勝進出に導いた。急速にパフォーマンスを上げ、評価を高めている理由とは。苦しみ続けた背番号10は、自由を得て力強く羽ばたき始めた。(文:舩木渉) ●ようやく決まったポルトでの初ゴール 土砂降りの雨でピッチには水が溜まる悪条件の中でも、軽やかに飛び回る背番号10は輝いて見えた。現地19日に行われたタッサ・デ・ポルトガル(ポルトガルカップ)の5回戦、サンタ・クララ戦に先発出場したポルトのMF中島翔哉がチームを勝利に導いた。 待ちに待った瞬間が訪れたのは29分のことだった。MFルイス・ディアスからのパスを受けたFWゼ・ルイスがペナルティエリア手前で前を向き、相手ディフェンスを釘付けにしながら右に走ったMFヘスス・コロナへ展開する。 コロナは目の前のDFとの駆け引
長谷部誠と鎌田大地がプレーするフランクフルトのアドルフ・ヒュッター監督は、選手起用に頭を終始悩ませている。 ブンデスリーガ、DFB杯に加え、ELグループリーグ6試合を戦い、さらに本戦出場に向けて予選で3度ホーム&アウェーを戦った結果、ここまでの今季公式戦数は29試合になる(12月15日現在)。この数はブンデスリーガ最多。主力を定期的に休ませたいがチーム力を落とすわけにもいかない。 木曜にELを戦い、中2日ですぐにリーグ戦という日程が続く。練習で戦術を落とし込む時間もなく、コンディション調整ばかりに気を配らなくてはいけない。 そんなスケジュールのなか、鎌田はリーグ第15節終了時点で公式戦28試合に出場。20試合でスタメン起用され、フル出場も14試合ある。出場がなかったのは10月の代表戦直後のレバークーゼン戦だけである。 いまや主力のひとりと認められているが、シーズン前、ファンの鎌田への期待、
久保建英がカンプノウでプレーをする。 バルサの育成組織“ラ・マシア”に所属していた久保は、バルサの18歳未満の外国人選手獲得・登録違反により公式戦への出場ができなくなりバルサを退団。Jリーグでのプレーを経て、18歳になった今季スペインに戻ってきた。 しかし、大多数の予想や期待を裏切り、バルサの宿敵であるレアル・マドリーへの移籍を選択した。 当初はマドリーの下部組織、カスティージャでのプレーも想定されていたようだが、選手本人とクラブの意向により、より高いレベルでのプレー時間の確保が優先され、今季リーガ1部に昇格したマジョルカにレンタル移籍している。 そんな久保にとって12月7日にバルサのホームで行われたリーガ第16節は、古巣への帰還であり、一度はそこでデビューすることを夢見たカンプノウでのプレーとなった。 この試合を撮影するにあたり、マドリディスタとしてバルセロナに戻ってくることになった彼の
「Jリーグアウォーズ」に当事者が呼ばれない、「やべっちF.C.」にも1秒たりとも取り上げられない。しかし、これは今季のJリーグで起きた確かなミラクルだ。 ギラヴァンツ北九州、J3リーグ優勝。 19勝9分6敗の何がスゴいのかというと。「前年最下位から一気に優勝」を達成したのだ(前年は6勝9分17敗)。26年のJリーグ史上初の出来事。クラブは昨季のJリーグ最底辺“57位”から、一気に来季のJ2昇格を勝ち得た。それも2016年までJ2に在籍したチームからすっかり入れ替わったメンバーで達成したのだ。 「昇格請負人」と呼ばれてきた人物。 一体、何が起きたのかというと、大きな変化はこの点だ。 監督が替わった。 「どうも~いいおじさんです」 12月1日の優勝決定後、ホームでのセレモニーで自らこうあいさつした小林伸二監督の存在だ。 2019年シーズンからギラヴァンツ北九州の監督に就任した。前年までは解説者
マジョルカ戦で自らのバロンドール受賞を祝うハットトリックをマークしたメッシ。だが、“王様”の活躍を支える2人の黒子にも賞賛を送りたい。 いやはや、バルセロナvs.マジョルカを見ていて、相変わらず凄い能力だなと気づかされた。 バルサの「右」を託された、インサイドハーフのラキティッチとサイドバックのセルジ・ロベルトの“気の利きぶり”が。 メッシの通常運転のハットトリックに、スアレスのオシャレなヒールシュート、そして初のカンプノウでブーイングを浴びながらも、2得点の起点となった久保建英の奮闘ぶりに触れるべきじゃないか。そうは思うのだが、「4番と20番」の素晴らしい仕事人っぷりにどうしても目がいったのだ。 彼らはメッシやスアレスが輝く「前」か「前の前」、もしくは久保に「決定的な仕事をされる直前」 でことごとくひと仕事し、バルサの5-2圧勝に渋く貢献していた。 そのいい仕事ぶり、何個でもプレーを挙げ
♪奮闘~、努力の甲斐もなく~。 名優・渥美清さんが唄った「男はつらいよ」の一節である。 近ごろ、監督の任期が短くなってきた。奮闘しても努力しても報われず、任をあっさり解かれてしまう。 現地時間11月29日、ウナイ・エメリがアーセナルを追われた。在任期間は1年190日。ウィリアム・エルコートの10カ月5日、トーマス・ミッチェルの11カ月11日、ブルース・リオクの1年58日に続く歴代ワースト4の短命に終わった。 アーセナルのフットボール部門を統括するラウール・サンジェイは、常日ごろからエメリを支持していた。メディアやOBが守備の改善、アウェーのパフォーマンス向上を訴えても、エメリ続投と発言していた。 モウリーニョの言葉に感じる覚悟。 ところがヨーロッパリーグのフランクフルト戦に敗れた数時間後、前言撤回。我慢の限界だったのか、あるいは予定どおりなのか。監督交代に踏み切ったのである。後任は未定。当
HOME 解説・コラム コラム 海外発 久保建英が勝ち取った“信頼” マジョルカ唯一の光明、現地記者も称賛「違いを生み出す」 久保建英が勝ち取った“信頼” マジョルカ唯一の光明、現地記者も称賛「違いを生み出す」 2019.12.03 記事 【スペイン発コラム】4試合連続スタメンが示した意味…久保が攻撃陣の“序列”を変えた マジョルカの日本代表MF久保建英は、現地時間11月30日にホームで行われたリーガ・エスパニョーラ第15節ベティス戦で、4試合連続のスタメン出場を果たした。 久保は前節のレバンテ戦(1-2)に3試合連続でスタメン出場を飾ったが、試合終了間際のシュートがペナルティーエリア内で相手選手の手に当たるもPK判定は下されず、1-2で惜敗した。シーズン開幕からアウェーでは未勝利の6連敗となり、通算成績は14試合終了時点で4勝2分8敗の勝ち点14、降格圏が背後に迫る17位となっていた。
U-18日本代表との一戦の翌日、リラックスした状況でインタビューに応じてくれたフィリップ・トルシエ監督。 U-19アジア選手権予選・グループJで日本と引き分け、ベトナムを来年10月にウズベキスタンでおこなわれる本大会に導いたフィリップ・トルシエは、所属する「PVFアカデミー」のテクニカルディレクターを続けながらU-19代表監督を兼任した。 PVFアカデミーとは、ベトナム最大の財閥であるであるビン・グループがハノイ市郊外に設立した育成施設で、最先端の設備はJヴィレッジをも上回っているのは本コラムですでに紹介したとおりである(https://number.bunshun.jp/articles/-/832105)。プライベートな施設だが、ベトナム協会との関係は深くゆくゆくはナショナルトレーニングセンターになるものと見られている。 アカデミーのすべてのプログラム作りと組織化を任されたトルシエが、
今季のJ1リーグも、残りあと4節。いよいよ長いシーズンのクライマックスに差しかかってきた。 現在は鹿島アントラーズ、FC東京、横浜F・マリノスの3チームが勝ち点わずか1ポイント差でデッドヒートを繰り広げている。優勝争いに注目が集まっているが、その一方で、それ以上の大混戦模様となっている残留争いの行方も、最後の最後まで目が離せない状況が続いている。 現在11位の浦和レッズは数字以上に苦しい状況に立たされている 第30節を終えた段階で残留を確定させているチームは、大分トリニータまでの上位8チームのみ。つまり半数以上の10チームに、まだJ2降格の可能性があるのだ。 ただ、9位ガンバ大阪と10位ヴィッセル神戸についてはそれほど心配することはないだろう。自動降格圏となる17位の松本山雅との勝ち点差が8ポイントで、プレーオフ圏内となる16位湘南ベルマーレとの勝ち点差が7ポイントある。 しかも、今季以上
2019年9月、2018シーズンにホーム無敗でJ3優勝を飾り、J2昇格を果たしたFC琉球にJ1クラブライセンスが発行された。沖縄初のJ1チームに着実に近づいているFC琉球は同時に、思い切ったクラブ経営体制の変更を行った。クラブ躍進の立役者である倉林啓士郎氏が社長から会長へ、31歳(当時)の三上昴氏が代表取締役社長に就任したのだ。結果を出し続けている今、なぜ社長交代なのか? 倉林、三上両氏に話を聞いた。 (インタビュー=岩本義弘[『REAL SPORTS』編集長]、構成=大塚一樹[『REAL SPORTS』編集部]、写真提供=FC琉球) 【中編】仮想通貨の資金調達に、「アジアの中心」構想! 常識を打ち破る、FC琉球の革新的な経営戦略とは? 【後編】小野伸二がFC琉球に移籍した舞台裏とは? 移籍の当事者が見据える沖縄の未来 救世主・倉林社長就任からの変革 そして今年さらなる変化が 2016年の
10月26日にカンプノウで開催されるはずだった今季最初のクラシコが延期された。 「バルセロナおよびカタルーニャ自治州内で、カタルーニャ独立派の活動が激化しているから」とざっくりした理由が報じられているが、背景をもう少し詳しく説明しよう。 まず、なぜいま激化しているのか。 発端は2年前の住民投票にある。 2017年6月、カタルーニャ自治州政府は独立の賛否を問う住民投票を同年10月1日に行うと発表し、9月上旬「カタルーニャの民族自決権に関する住民投票法」を成立させて準備を進めた。 スペイン政府は無論、反対だ。そこで住民投票法の違憲をスペイン憲法裁判所に訴え、同法を停止。実力による投票準備の阻止を始めた。 しかし住民投票は予定どおり実施され、投票者の90%超が独立に賛意を示したのである。 自治州政府の首相らに重い判決。 自治州政府のプッチダモン首相は、独立宣言施行前にスペイン政府との対話を望んだ
ドイツ代表のホープ、ハフェルツ(中央)を押さえ込んだ長谷部誠。アグレッシブな守備で自由にプレーをさせなかった。 “魔法”の夜が甦った。難敵に完勝すると、長谷部誠は静かに手応えを口にした。 「もちろん危ない場面も作られましたけど、今日は守備の意識を高く保って、チャンスもある程度作れていた。そこを逃さず点を決めていけば、どこが相手でも勝てるんじゃないか、という感覚はあります」 幼い男の子から歳を重ねた老女まで、アイントラハト・フランクフルトを愛する者たちが声を振り絞って紡ぎ出す、熱に浮かされた夜。昨季、ベスト4まで突き進んだヨーロッパリーグの戦いで生まれた熱狂が、再びスタジアムを覆ったのだ。 10月18日、澄んだ闇夜に煌々と明かりが灯るコンメルツバンク・アレナ。 ブンデスリーガ第8節、対バイヤー・レバークーゼン戦。代表ウィークが明けて「1発目」の試合で、アイントラハトは前半からギアをトップに入
[10.14 国際親善試合 U-22日本代表 3-2 U-22ブラジル代表] ブラジル遠征を行っているU-22日本代表は14日、アレナ・ペルナンブーコでU-22ブラジル代表と対戦。前半15分に先制を許した日本は同28分にMF田中碧(川崎F)のゴールで追い付き、前半を折り返す。後半7分に再び田中がミドルシュートでゴールを陥れて逆転に成功し、同23分にMF中山雄太(ズウォレ)がミドルシュートを突き刺してリードを広げると、ブラジルの反撃を1点に抑えて3-2の逆転勝利を収めた。 日本は3-4-2-1を採用し、GKに大迫敬介(広島)、最終ラインは右からDF渡辺剛(FC東京)、DF立田悠悟(清水)、DF町田浩樹(鹿島)、ボランチに田中とキャプテンマークを巻く中山を並べ、アウトサイドは右にMF橋岡大樹(浦和)、左にMF杉岡大暉(湘南)、シャドーにMF三好康児(アントワープ)とMF食野亮太郎(ハーツ)が入
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