江戸の風評被害 [著]鈴木浩三 テレビやインターネットがない時代は、情報の伝達速度が遅いし、そのぶん噂(うわさ)も広まりにくかったのではないか、と漠然と思っていた。しかし江戸時代にも、噂はかなりの速度で広まったし、なかには風評被害を引き起こすような噂も多々あったということを、本書を読んで知った。 「蕎麦(そば)を食べると中毒死する」という噂が出まわり、お蕎麦屋さんが商売あがったりになる。「上水に毒が投入された」という噂が流れ、汲(く)み置いた水を捨てたり、「水源からここまで毒が流れてくるのには間があるだろう」と慌てて水を汲んだりと、人々がパニックに陥る。江戸の町は噂に振りまわされ、幕府はそのつど律義に、「大丈夫だから落ち着け」と、お触れを出すのだった。 「貨幣が改鋳される」という噂も、幕府が否定しても否定しても浮上した。江戸時代は「金・銀・銭」の三貨制だったうえに、江戸では主に金貨が、上方
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