現在、新型コロナの診断を受けた患者情報は全例、都道府県・国に報告されています。医療機関や保健所の「全数把握」の業務負担が大きいことから、これを「定点把握」に移行すべきではないかという意見が出ています。そのメリット・デメリットを解説します。 「全数把握」と「定点把握」の違い現在、医師は診断した新型コロナの患者情報を届け出る必要があります。政府の情報共有システム「HER-SYS(ハーシス)」に入力する運用ですが、印刷して手書きで書いたものを保健所にFAXで送っている医療機関も多く、保健所は代行入力業務に追われています。 「新型インフルエンザ等感染症」に位置付けられている新型コロナだけでなく、一類感染症から四類感染症までの全てと五類感染症の一部は「全数把握対象疾患」になっています(図1)。 図1. 全数把握対象疾患と定点把握対象疾患(筆者作成) 他方、軽症者が多い感染症では、全数を数えにいくとい