健康保険の対象にならない自由診療の分野で、スタートアップの技術が価格破壊をしかける。歯列矯正では3Dプリンターを使って治療費を3分の1に抑える。視力矯正でも手術せずに治す技術を実用化した。新技術で「矯正」医療に参入する企業が増えれば、価格や品質を巡る競争が引き起こされ、曖昧だった自由診療の算定基準の透明性も高まる可能性がある。スタートアップのドリップス(東京・千代田)は5月、3Dプリンターでつ
アトピー性皮膚炎などでかゆみがある皮膚をかくと、さらにかゆみが増すのは、刺激によって増える特殊なたんぱく質が原因であることを、マウスを使った実験でつきとめたと、九州大学などのグループが発表しました。 この研究は、九州大学の津田誠主幹教授などのグループが海外の学術誌で発表しました。 アトピー性皮膚炎などでは、かゆみがある皮膚を繰り返しかくことで、炎症が悪化し、さらにかゆみが増すことが知られています。 グループは、皮膚炎のマウスを使った実験で、繰り返し皮膚をかくと「NPTX2」と呼ばれるたんぱく質が増え、このたんぱく質が脳にかゆみを伝える神経を活性化させていることをつきとめたということです。 さらに、人工的にこのたんぱく質ができないようにした皮膚炎のマウスを観察したところ、皮膚をかく回数がおよそ34%減ったということです。 グループでは、アトピー性皮膚炎などで強いかゆみが長引くのは、このたんぱ
「世界一高い」とも言われる、幼い子どもなどの難病の治療薬「ゾルゲンスマ」について、厚生労働省は、保険適用の対象とし、1回当たり、およそ1億6700万円とする方向で詰めの調整を進めています。 アメリカでは1回あたり2億円を超え、世界一高い薬とも言われていることから、国内での価格設定が注目されています。 こうしたなか厚生労働省は、「ゾルゲンスマ」を公的な医療保険の適用対象としたうえで、1回当たりおよそ1億6700万円とする方向で詰めの調整を進めていることがわかりました。13日に開かれる中医協=中央社会保険医療協議会で承認されれば、現在国内で保険が適用されている薬で最も高額となります。 対象となる患者は年間25人程度と見込まれ、患者側が支払う医療費には上限が設けられ、それを超えた分は保険料などで賄われることになります。
アルツハイマー病の治療薬としてアメリカの製薬会社と日本のエーザイが共同で開発した新薬について、アメリカのFDA=食品医薬品局は原因と考えられる脳内の異常なタンパク質を減少させる効果を示したとして治療薬として承認したと発表しました。 アメリカの製薬会社「バイオジェン」と日本の「エーザイ」が開発したアルツハイマー病の新薬「アデュカヌマブ」は症状の進行を抑えることを目的とした薬で、脳にたまった「アミロイドβ」と呼ばれる異常なたんぱく質を取り除き、神経細胞が壊れるのを防ぐとしています。 これについてFDAは7日「臨床試験の結果、『アミロイドβ』の減少が確認され、患者の症状への効果が合理的に予測される」と評価し治療薬として承認したと発表しました。 FDAによりますとアルツハイマー病の新薬が承認されたのは2003年以来18年ぶりで、アミロイドβに作用する治療薬は初めてだということです。 今回の承認は深
子どもに知的な発達の遅れなどを引き起こす難病の「ムコ多糖症」について、症状の進行を抑える世界初の治療法が承認され、26日実用化される見通しです。 治療法を開発したのは、国立成育医療研究センターの奥山虎之統括部長らのグループです。 「ムコ多糖症2型」は、生まれつき特定の酵素が足りず、知的な発達の遅れや臓器の障害を引き起こす子どもの難病で、国内に少なくともおよそ150人の患者がいると見られています。 体内に酵素を投与すれば、症状の進行を一定程度抑えることができますが、これまで脳に投与することができず、知的な発達の遅れを抑えることができませんでした。 そこで研究グループは、治験で6人の重症の子どもの頭皮の下に特殊な装置を埋め込み、3年間にわたって月に1度、脳内に酵素を直接投与してきました。 その結果、3歳になる前に投与を始めた子どもでは症状の進行が抑えられ、ことしに入って厚生労働省が治療法として
進行した大腸がんで、ほかの臓器に転移したがんを手術で取り除けないときには、多くの場合、大腸にある元のがんを取り除く手術が行われてきました。国立がん研究センターなどの臨床試験の結果、この手術を行っても行わなくても生存期間が変わらなかったことが分かり、今後は手術せずに抗がん剤のみを使う治療が標準になるとしています。 国立がん研究センター中央病院の金光幸秀科長らのグループは、大腸がんが進行し、ほかの臓器に転移した「ステージ4」の患者を対象に臨床試験を行い、結果を発表しました。 大腸がんは、国内ではがんの中で最も多い年間15万人以上が診断され、このうちの2割近くを占めるステージ4の患者の治療は、転移したがんを手術で取り除くことができないときには多くの場合、元の大腸がんを取り除く手術をしたあとで抗がん剤の治療が行われています。 グループでおととしまでの7年間に治療を受けたステージ4の大腸がんの患者1
アイテム 1 の 2 5月21日、新型コロナウイルス感染者の爆発的急増が警戒された4月。安倍晋三首相首相は重症者を救う人工呼吸器1万5000台の確保を表明し、さらなる増産を国内メーカーに求めた。写真は製造した人工呼吸器のチェックをするメトランの従業員。埼玉県川口市で4月撮影(2020年 ロイター/Issei Kato) [1/2] 5月21日、新型コロナウイルス感染者の爆発的急増が警戒された4月。安倍晋三首相首相は重症者を救う人工呼吸器1万5000台の確保を表明し、さらなる増産を国内メーカーに求めた。写真は製造した人工呼吸器のチェックをするメトランの従業員。埼玉県川口市で4月撮影(2020年 ロイター/Issei Kato)
肺での呼吸が難しい状態にしたブタなどの動物の腸に、酸素を含んだ液体を送り込んで、呼吸不全の状態を改善させることに東京医科歯科大学などのグループが成功したと発表しました。人に応用できれば、人工呼吸器などが必要な患者の治療につながるとしています。 研究を行ったのは、東京医科歯科大学の武部貴則教授らのグループです。 グループは、魚のドジョウは酸素が少ない環境では、えら呼吸だけでなく腸でも呼吸できることに注目し、哺乳類でも腸から酸素が吸収できるか調べました。 実験では酸素が少ない環境で重篤な呼吸不全になったマウスやブタなどに、高濃度の酸素を溶け込ませた特殊な液体をお尻から腸に送り込んで反応を調べました。 その結果、マウスでもブタでも血液中の酸素の量が大幅に増えることが確認され、このうちブタでは1回400ミリリットルの液体で、20分間、呼吸不全の症状が改善したということです。 グループによりますと、
光に反応する化学物質と組み合わせたがんの薬を、患者に投与したあと光を当ててがん細胞を攻撃するという新たな治療法の薬が、先週、世界で初めて承認されました。 この薬を開発した研究者が記者会見し「がん治療のもう1つの選択肢になってくれればよいと思う」と期待を示しました。 アメリカの国立衛生研究所に所属する小林久隆主任研究員は、がんを狙い撃ちにする抗体を使った薬に、光に反応する化学物質を組み合わせたがんの治療法を開発し、先週、世界で初めて他の治療が難しい頭けい部がんの治療薬として、日本国内で承認されました。 29日、小林主任研究員と薬を開発した製薬会社「楽天メディカル」の三木谷浩史会長らが、東京都内で記者会見しました。 小林主任研究員は、この治療法を数十年研究してきたということで「患者の手に届かなければ意味がなく、日本で承認されたことはうれしいかぎりだ。がん治療のもう1つの選択肢になってくれればよ
アルツハイマー病の新たな治療薬について、製薬大手の「エーザイ」は最終段階の治験の結果、症状の悪化を抑える効果が確認できたと発表しました。 会社は、来年3月末までに国内や欧米で承認申請を行うとしています。 「エーザイ」は28日、アメリカの製薬会社「バイオジェン」と共同で開発しているアルツハイマー病の新しい治療薬「レカネマブ」について、最終段階の治験の結果を発表しました。 それによりますと、治験は2019年3月からアメリカや日本、それにヨーロッパなどで軽度の認知症の患者や発症の前段階の患者、合わせておよそ1800人を対象に行われ、2週間に1回のペースで薬を投与するグループと偽の薬を投与するグループに分けて、医師などが評価する形で患者の認知機能の変化などを調べました。 その結果、投与から1年半たった時点で「レカネマブ」を投与したグループでは、症状の悪化が27%抑えられ、有効性が確認できたとしてい
光ファイバーを使って内視鏡を注射針よりも細くする技術の開発に慶應大学などのグループが成功しました。実用化されれば、ひざの関節などの内視鏡検査で患者の負担を減らせると期待されています。 開発を行ったのは慶應大学の小池康博教授と、医学部の中村雅也教授、それに医療機器メーカーなどで作るグループです。 グループは、特殊な光ファイバーに光を通すとレンズと同じように屈折することに注目し、レンズの代わりに光ファイバーを取り付けた内視鏡を開発しました。 開発した内視鏡は太さが1.25ミリほどと非常に細いため点滴などで使う注射針の中を通すことができ、解像度の高い映像を撮影できるということです。 グループによりますとこれまでひざの関節などの内視鏡検査は全身麻酔での手術が必要でしたが、開発した内視鏡は、ごく小さな穴から挿入できるため患者の負担を減らすことが期待できるということです。 また、光ファイバーは、プラス
体が動かなくなる難病、パーキンソン病は、脳に異常なたんぱく質がたまることが原因とされていますが、大阪大学などのグループは、これとは別の物質が原因とみられる新しいタイプのパーキンソン病を見つけたと発表しました。 この研究は大阪大学大学院医学系研究科の別宮豪一特任講師などのグループが行いました。 パーキンソン病は手足が震えたり、体が動かなくなったりする難病で、脳の一部に「αシヌクレイン」という異常なたんぱく質がたまることが原因とされています。 グループでは、パーキンソン病と診断された1人の患者から死後に脳の提供を受け、詳しく調べたところ、「αシヌクレイン」ではなく、「TDPー43」と呼ばれる別のたんぱく質がたまっていることが分かったということです。 「TDPー43」はほかの神経難病との関連は指摘されていましたが、パーキンソン病を引き起こすことは知られておらず、グループでは新たなタイプのパーキン
大阪府内で新型コロナウイルスの重症患者を受け入れる病床のうち実際に運用できているのは15日の時点で107床で、これをもとにした使用率は、60%を超えることが分かりました。大阪府は「各病院に協力をお願いして徐々に増える見込みだが、状況を見極めながら必要な対応をしていきたい」としています。 大阪府は、新型コロナウイルスの患者が急増した場合に備えて、重症患者用の病床を206床、確保していますが、受け入れる病院では、患者が少ない時期は、一般の患者用に運用しています。 新型コロナの感染拡大に伴い、府は今月9日、重症患者用の病床を150床まで増やすため、府内14の医療機関に対して、16日までに重症患者用のベッドを空けてもらえるよう依頼しました。 その結果、15日の時点で107床が運用できる状態になったということです。 府内の重症患者は15日の時点で66人で、大阪府が確保している206床をもとにした使用
今月8日までの1週間に、救急患者の受け入れ先がすぐに決まらない「搬送が困難な事例」は7558件と、前の週から400件増えて、3週連続で過去最多を更新したことが、総務省消防庁のまとめでわかりました。総務省消防庁は「新型コロナウイルスとインフルエンザの同時流行も想定し、救急車の適時適切な利用を呼びかけていきたい」としています。 総務省消防庁は患者の搬送先が決まるまでに、病院への照会が4回以上あったケースなどを「搬送が困難な事例」として、県庁所在地の消防本部など、全国の52の消防機関の報告をもとに毎週とりまとめています。 今月8日までの1週間は7558件で、過去最多だった前の週より400件増えて、3週連続で過去最多を更新しました。 これは、新型コロナウイルスの感染拡大前にあたる2019年度の同じ時期の5.24倍となっています。 このうち、新型コロナウイルスの感染が疑われるケースは2612件で、全
体のさまざまな組織や臓器の細胞に変化できるES細胞から作った肝臓の細胞を移植して、難病の赤ちゃんを治療することに成功したと、国立成育医療研究センターが発表しました。センターによりますと、ES細胞から作った細胞の移植は国内で初めてで、肝臓への移植は世界でも初めてだとしています。 国立成育医療研究センター臓器移植センターの福田晃也診療部長らの医療チームは去年10月、「尿素サイクル異常症」の生後6日目の赤ちゃんに、ES細胞から作った肝臓の細胞を移植したと発表しました。 「尿素サイクル異常症」は、肝臓で特定の酵素が働かないためアンモニアを分解できず、死に至ることもある難病で、根本的な治療は肝臓移植しかありません。 ところが赤ちゃんの場合、体重が6キロほどに成長する生後3か月から5か月ごろまでは肝臓移植が受けられないため、その間の治療が課題になっていました。 医療チームはES細胞から作った肝臓の細胞
子宮頸がんになった女性が出産した際に、がん細胞が移行し、その後、子どもが肺がんになったケースがあったと、国立がん研究センターなどが発表しました。こうした報告は世界で初めてだということで、研究グループはリスクを下げるために、子宮頸がんワクチンの接種が重要だとしています。 国立がん研究センターなどのグループでは、肺がんと診断された1歳と6歳の男の子2人について、肺にあるがん細胞の遺伝子を解析しました。 2人とも、母親が子宮頸がんと診断されていて、解析の結果、肺のがんは母親由来のものだとわかったということです。 子どもが肺がんになるのは極めてまれで、研究グループは、出産の際に、子宮にあったがん細胞が混じった羊水を吸い込んだことで、赤ちゃんに移行し、その後、肺がんになったと考えられるとしています。 2人の男の子は、その後、手術や免疫療法の薬の投与を受け、がん細胞を取り除くことができたということです
さまざまな細胞に変化させることができるマウスの「ES細胞」から正常に機能する卵巣の組織を作り出すことに世界で初めて成功したと、九州大学などのグループが発表しました。 今後、不妊の原因の解明などに役立つと期待されています。 これは、九州大学大学院医学研究院の林克彦教授や吉野剛史助教らのグループが発表しました。 「ES細胞」から卵子を作製する研究では胎児から取り出した卵巣の細胞と組み合わせて培養する必要があり、マウス以外の動物で研究を進める上での課題となっていました。 グループではマウスのES細胞に特殊なたんぱく質などを加えることで「胎児の卵巣によく似た細胞」を作り出すことに成功し、別のマウスのES細胞から作製した「卵子の元になる細胞」と組み合わせて培養しました。 その結果、この細胞は卵巣の組織に成長し、できた卵子を人工授精させると正常なマウスが生まれたということです。 マウスのES細胞だけで
国内におよそ80万人の患者がいるとされる関節リウマチをはじめとした自己免疫疾患について、症状を悪化させる原因となるたんぱく質を特定し、その働きを抑える薬の成分をマウスの実験で発見したと大阪大学などのグループが発表しました。 自己免疫疾患は、免疫の異常によって関節や皮膚などの組織が攻撃され、炎症などが起きる病気で、このうち関節リウマチは国内におよそ80万人の患者がいると推計されています。 大阪大学の鈴木一博教授などのグループは関節リウマチの症状を再現したマウスを使って自己免疫疾患の詳しい原因を調べました。 その結果、免疫を活性化させる「COMMD3/8複合体」と呼ばれるたんぱく質を、体内で作り出せないようにしたマウスでは関節炎の進行が抑えられ、このたんぱく質が自己免疫疾患の悪化に関わっていることがわかったということです。 さらに、炎症を抑える目的で使われている漢方薬の原料「ライコウトウ」の主
緊急入院した高齢の患者を、診療を行う日数が少ない医師が担当した場合、診療日数が多い医師が担当した場合に比べて、患者の死亡率が1.1倍となり、治療成績に差がみられたことが、アメリカのデータの分析で分かったと、慶応大学やカリフォルニア大学などが発表しました。 日本でも同様の傾向があるかは分かっていませんが、研究グループは、最新の医療技術を学ぶ機会を設けるなど、支援が必要だとしています。 研究グループは、アメリカの高齢者医療のデータを使い、2016年までの6年間に、入院治療が専門の内科医1万9000人余りが担当した、緊急入院の患者の死亡率を分析した結果を、アメリカ医師会雑誌の関連誌に発表しました。 それによりますと、緊急入院した高齢の患者が30日以内に亡くなった割合は、年間の診療日数が160日ほどの医師が担当した場合は9.6%だったのに対し、60日ほどの医師の場合は10.5%で、およそ1.1倍と
全国各地にあるがんの拠点病院などで診断された24万人近くの患者の大規模なデータに基づいた10年生存率を国立がん研究センターが初めてまとめました。10年生存率は全体で59.4%で、種類や進行度によっては5年後以降にも生存率が下がるがんもあり、より長期に経過観察を行う必要があるとしています。 国立がん研究センターは、2008年に全国のがん診療連携拠点病院など240の医療機関でがんと診断されたおよそ23万8000人のデータに基づいて患者の10年生存率をまとめました。 10年生存率は、これまで全国のおよそ20のがん専門病院のデータをもとにしていましたが、今回は初めて大規模なデータに基づいて示されました。 その結果、がん医療の効果をはかる指標とされる10年後の生存率は全体で59.4%となりました。 データを詳しく見ると、女性の乳がんでステージ1の場合は、5年後の生存率は100%、10年後は99.1%
去年1年間に国内で結核と診断された患者は1万1000人余りで調査開始以来、最も少なくなったことが厚生労働省のまとめで分かりました。人口10万人当たりの患者の数を示す「り患率」は9.2人で初めて10人を下回り、WHO=世界保健機関が定める「結核低まん延国」になりました。 厚生労働省によりますと、去年1年間に国内で結核と診断された患者は1万1519人で前の年から1220人減り、調査を始めた昭和26年以来最も少なくなりました。 年代別にみますと、80代が3440人と最も多く、次いで70代が2241人、90歳以上が1633人などと70代以上が全体のおよそ6割を占めています。 死亡した人は1844人で前の年より65人減りました。 人口10万人当たりの患者の数を示す「り患率」は9.2人とはじめて10人を切り、WHO=世界保健機関が定める分類で「結核低まん延国」になりました。 厚生労働省などは、減少した
日本とアメリカの製薬会社が共同で開発したアルツハイマー病の新薬についてFDA=アメリカ食品医薬品局は6日、患者の脳内にたまっている異常なタンパク質を減らす効果を示したとして、治療薬として承認したと発表しました。 FDAが6日、アルツハイマー病の新しい治療薬として承認したのは、日本の製薬大手「エーザイ」とアメリカの「バイオジェン」が共同で開発を進めてきた新薬「レカネマブ」です。 アルツハイマー病になった患者の脳では「アミロイドβ」と呼ばれる異常なたんぱく質がたまっていて、これによって神経細胞が壊れると考えられています。 FDAは、研究グループが行ったおよそ850人を対象にした中間段階の治験でこの薬を投与された患者の脳から「アミロイドβ」を減らす効果が示されたと評価しています。 承認された治療薬はアミロイドβがたまる前に取り除くことで神経細胞が壊れるのを防ぎ、病気の進行そのものを抑える効果が期
全身の筋肉が次第に動かなくなる難病のALSの患者に、パーキンソン病に使われている薬を投与することで症状の進行を7か月、遅らせる効果を確認したと慶応大学のグループが発表しました。 患者のiPS細胞を使って薬を特定する「iPS細胞創薬」の成果だということです。 これは慶応大学の岡野栄之教授らのグループが、国の承認を得るための治験として行いました。 ALS、筋萎縮性側索硬化症は、全身の筋肉が次第に動かなくなる難病で、根本的な治療薬はありません。 グループは、患者のiPS細胞から作った、病気の状態を再現した神経細胞で実験を行うことで、パーキンソン病の治療に使われる「ロピニロール」という薬がALSの進行を抑える可能性があることを突き止めました。 そして、ALSの患者合わせて20人にこの薬を投与したところ、半年間だけ薬を飲んだグループでは1年後におよそ9割が歩けなくなったり、しゃべることができなくなっ
富山大学は、手足が震えたり体が動かなくなったりする難病、パーキンソン病の発症メカニズムを発見したと発表し、今後、新たな治療法につながることが期待されます。 この研究は富山大学学術研究部薬学・和漢系の酒井秀紀教授や藤井拓人助教などで作るグループが行いました。 パーキンソン病は、手足が震えたり体が動かなくなったりする難病で、脳の一部に「αシヌクレイン」というたんぱく質がたまることが原因とされています。 この原因を解明するためグループでは、脳の神経細胞の中にある「PARK9」という別のたんぱく質に着目し、その機能を分析した結果、パーキンソン病の原因となる「αシヌクレイン」の分解を進める役割を果たしていました。 さらに薬剤を使って「PARK9」の働きを阻害する実験を行ったところ、「αシヌクレイン」が通常の4倍以上蓄積したということです。 このため「PARK9」の機能の異常がパーキンソン病の発症につ
アルツハイマー病のリスクを高めることが知られているものの、詳しい仕組みが分かっていなかった、特殊な遺伝子が神経細胞の働きを妨げるメカニズムを、慶応大学のグループがiPS細胞を使った実験でつきとめたと発表しました。 アルツハイマー病は「APOE4」と呼ばれる遺伝子を持っている人では発症のリスクが3.5倍以上に高まりますが、詳しいメカニズムはこれまで分かっていませんでした。 グループでは人工的に「APOE4」を持たせたヒトのiPS細胞を神経系の細胞に変化させたうえで、正常な神経細胞と一緒に培養しました。 その結果、一緒に培養した神経細胞は表面にある情報伝達の役割を担う「スパイン」と呼ばれる突起が成長しにくくなり、突起の長さが通常よりおよそ20%短くなっていたということです。 この遺伝子を持つ細胞から多く分泌されるたんぱく質の1つが、スパインの成長を妨げることも確認できたということで、グループで
早期の大腸がんを電気メスを使って切除する新しい内視鏡治療の効果を調べたところ、再発はほとんどなく、5年生存率がおよそ94%と高い効果が得られたと国立がん研究センターなどが発表しました。今後、標準の治療法になることが期待されるとしています。 大腸がんは国内で患者数が最も多いがんで、転移のリスクが低い早期の場合、これまで開腹手術ではなく、主にワイヤーでがんを取り除く内視鏡治療が行われてきましたが、がんを取り切れないこともあり、再発率が10%以上と高いことが課題になってきました。 国立がん研究センター中央病院 斎藤豊 内視鏡科長らのグループは、2013年からの2年間に大きさが2センチ以上の早期がんがあり、電気メスで切除する「ESD」と呼ばれる内視鏡治療を受けたおよそ1400人のその後の経過を調べました。 その結果、ESDを受けた患者の5年生存率は93.6%で、がんが再発した人は8人と0.5%にと
細菌への感染で歯ぐきや歯を支える骨が溶ける歯周病に、江戸時代の人々もかかっていたことが東京医科歯科大学などが当時の骨を解析した結果、分かりました。付着していた歯石を調べると、歯周病の原因の細菌は現代とは異なることも分かったということです。 東京医科歯科大学などの研究グループは、東京 江東区の深川付近で発掘された江戸時代後期の人の骨をCTスキャンなどで解析した結果をスイスの分子生物学の雑誌に発表しました。 それによりますと、12体のうち5体で、あごの骨の一部が溶けていて、歯周病にかかっていたことが分かったということです。また、骨に付着した歯石に含まれるDNAを解析したところ、24種類の細菌がいたことが分かり、このうちの17種類は現代人の口の中でも見られるものでした。 しかし、現代人で歯周病の原因となっている細菌は江戸時代の人の歯石からは1種類も検出されず、研究グループは、口の中の細菌の環境は
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