発刊されたのが、バブルのピークである1989年であることは興味深い。 社会学者エズラ・ヴォーゲルによる著書「ジャパン・アズ・ナンバーワン」が発刊されたのが、その10年前の1979年である。この本が発刊されてから、多くの日本人は「米国を追い抜くぞ!」と意気揚々としていた。今の日本の沈滞ムードしか知らない若い世代には信じがたいことであろう。 その頂点とも言える時期に「『NO』と言える日本」が発刊されたから、「日本イケイケどんどん」的な捉えられ方をされたのも無理もないと考える。タイトルの主張は主に石原氏の主張に沿ったものだと思う。 第2次世界大戦での惨めな敗戦後、米軍の占領状態がサンフランシスコ講和条約発効の1952年まで約7年も続いた。その後、奇跡の「経済成長」を遂げて、「米国を追い抜く」とまで言われる立場に立ったのだから、「言いたいことを言ってもいいんじゃない?」という雰囲気はあったと思う。