ツヴァイカンプフ(1対1)なしにボールを奪う――。 ことさらに「デュエル」の重要性を説く日本代表のヴァイッド・ハリルホジッチ監督にとっては、寝耳に水のような言葉かもしれない。だが、「それこそが自分が理想とするサッカー」と力説する指導者が、欧州サッカー界の最先端で異彩を放っている。 ドイツの最高峰リーグで上位争いを演じているホッフェンハイムの指揮官、ユリアン・ナーゲルスマンだ。'16年2月11日に弱冠28歳でブンデスリーガ史上最年少監督になった風雲児は、ドイツサッカーの美徳とされるツヴァイカンプフの信奉者ではない。むしろツヴァイカンプフは偶然に左右される側面が強いと考えているのだ。 例えば、激しい対人戦が起きたとする。一連のプレーがフェアかどうかをジャッジするのはレフェリーだ。その審判が選手同士の接触に過剰反応を示すタイプなら、いくら対人戦に強い選手でも、ファウルを取られて持ち味を活かせなく