コミュニケーションのあり方が変化するなかで、社会的な規範も揺らいでいる。コラムニストの石原壮一郎氏が考察した。 * * * 世の中には反面教師があふれています。そりゃ、誰だって至らない点はありますが、それはそれ。ニュースを見ていると「そういう人にはなりたくないな」と思わされることが、しばしばあります。 最近、強くそう思わされたのは、秋田県美郷町で住宅地にある作業小屋に立てこもっていたクマ三頭を駆除したら、町役場にクレームが殺到したというニュースをみたとき。クマの駆除が行なわれたのは、発見された翌日の10月5日。その直後から苦情が殺到し、翌6日の段階で「電話で450件、メールで160件」にのぼったとか。 電話に出た職員に、いきなり「人でなし!」「地獄に堕ちろ!」と罵声を浴びせたり、30分以上もネチネチと抗議し続けたり……。10日の段階でも抗議の電話が続いていて、町役場は通常の業務に支障をきた