古代日本の調味料奈良時代から平安時代にかけて、貴族たちのあいだで儀式料理として唐の饗応料理の影響を受けた大饗(饗膳)料理とよばれる食事様式が形成されるが、これはたくさんの料理を並べて好みに応じて調味料をつけて食べるもので、使われた調味料は塩・酢・酒・醤(ひしお)であったという。 醤とは食材を塩漬けにして発酵させたもので、動物性の魚醤・肉醤と植物性の草醤・穀醤とに大別される。魚醤は魚の内蔵を塩蔵したもので後に塩辛に、草醤は野菜・果物を塩漬けにしたもので後に漬物に、穀醤は米・麦・豆などの穀類に塩を加えて発酵させるもので後に味噌・醤油へと発展した。日本へはまず草醤が最初に伝わったと考えられており、記録に残る古いものとして、孝謙上皇の女官から平城宮の食料担当者にあてた請求書の文面として醤・酢・末醤(みそ)が挙げられている西暦763年頃と推定される木簡や万葉集にもいくつか醤や酢が詠みこまれた歌もある