10月1日の住民投票を受けて、週明けにも独立宣言するとみられていたが、スペイン政府との協議の姿勢も見せているカタルーニャ州自治州政府。独立を問う住民投票では、スペイン国家警察とグアルディア・シビル(治安警察)が投票所を封鎖し、投票箱を押収しようとして、市民とモミ合いとなり、その映像が世界中で報道された。「暴力を振るう警官」として、治安警察と国家警察は世界で批判された。 が、なぜこんな事態に発展してしまったのかは、日本のメディアにおいてあまり説明されていない。 そもそも、スペイン政府は今回の住民投票を当初から「違憲」だと判断しており、カタルーニャ州政府もこれを認識していた。スペイン憲法155条に「国家の統一を損なう自治州の政治活動は禁止する」という内容の規定があるが、これは住民投票そのものを規定するものではない。が、今回の住民投票では、州民にカタルーニャの独立を望むか否かを問うた。これを、ス
シリーズ「クルド人の風景」では、日本で報道が少ないクルド地域について、毎月専門家がやさしく解説していきます。(協力:クルド問題研究会) 「国家を持たない最大の民族」。クルド人について述べられる際、頻繁に使われる表現で、覚えのある方も多いのではないだろうか。 調査によって幅はあるが、クルド人はトルコ、イラク、イラン、シリア、そして旧ソ連との国境に、およそ2500万~3000万人程度居住しているとされる。一定の人口規模があるのだが、第一次世界大戦後の、主にイギリスとフランスとの間の「中東分割」によって、クルド人居住区域は戦後成立した各国に分断されたため、クルド人は各国で少数派となった。 さらに、一民族一国家を原則とする国民国家思想が国家の理想形として目指される中で、多数派民族を抱えた国民国家形成の過程において、クルド人は少なからぬ抑圧を受けることになる。とくに最大のクルド人口を抱えるトルコにお
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私の専門は環境倫理学である。ここ数年は、「都市の環境倫理」についての研究を続けている。2014年に刊行した拙著『都市の環境倫理』では、次の3点を主張した。 (1)都市は地球の持続可能性に貢献できる。戸建て住宅に分散して住み、マイカーで移動する郊外型のライフスタイルよりも、集住と公共共通の利用を中心とする都市型のライフスタイルのほうが、資源とエネルギーが節約できるからである。 (2)都市における自然に目を向けるべきである。都市の中にも動植物は存在する。緑地も川もある。アスファルトの下には大地のデコボコがある。「都市には自然がない」と言ってしまうと、現にそこにある自然に目が向かなくなる。 (3)都市生活はストレスが多いと言われるが、それは仕事のしかたや人間関係の問題が大きく、必ずしも都市生活に起因するわけではない。都市で快適に過ごしている人もいる。地方への逃避を考えるよりも、都市生活のアメニテ
長野県南部、中央アルプスと南アルプスに挟まれた伊那谷。この地を拠点に、半世紀にわたって活動してきた写真家がいる。本書の著者、宮崎学である。1947年、長野県の中川村に生まれた彼は、精密機械会社に勤めた後、72年に写真家として独立し、「自然界の報道写真家」として現在も日本中の自然を観察している。 宮崎さんの写真の特徴は、何といっても「無人カメラ」を用いている点だ。長年の経験から、野生動物たちのセンサーをかいくぐって、その生態をとらえるためには、野ざらしの無人カメラしかないと考えた彼は、赤外線を使った自動撮影システムを独自に考案・開発し、山中に設置してきた。本書は、そうして撮影された原風景から、動物たちの素顔を読み解かんとする写真集であり、人間社会と自然界の接点を浮き彫りにした調査報告である。 詳しい内容に入る前に、無人カメラの仕組みについてもう少し説明しておこう。普通の写真家がこちら側から動
Shutterstock宇宙線は強力な放射線。宇宙飛行士にリスクをもたらす。地球は磁場によって宇宙線から守られている。その外側では、がんなどのリスクが高まる。火星への有人飛行では、健康へのリスクが当初の2倍にのぼる可能性がある。マウスを使った研究から明らかになった。だが、より効率的な放射線遮へい技術がすぐに開発されるだろう。NASAは15年〜20年以内に、火星に宇宙飛行士を送り込むとしている。中国は火星への有人飛行を2020年から2030年の間に実施したいと語っており、ロシアも同様の計画を打ち出している。 一方、スペースXの創業者イーロン・マスク氏は、100万人の火星移住計画をできる限り早く進めるために、宇宙飛行にかかるコストの削減にチャレンジしている。 だがマウスの放射線被ばくに関する研究結果が人体にも当てはまるなら、火星飛行は、これまで考えられていたよりもずっと危険かもしれない。 問題
シリーズ「等身大のアフリカ/最前線のアフリカ」では、マスメディアが伝えてこなかったアフリカ、とくに等身大の日常生活や最前線の現地情報を気鋭の研究者、 熟練のフィールドワーカーがお伝えします。今月は「最前線のアフリカ」です。 中部アフリカの大国、コンゴ民主共和国(旧ザイール共和国、以下「コンゴ」と略称)は現在、紛争・難民・暴力といったキーワードで語られることが多い。私は約30年前からこの国で調査を続けているが、この記事では私自身の経験をもとに、そういったイメージに覆い隠されてほとんど知られていない、コンゴの人々の姿について紹介してみたい。 私の調査の拠点は、コンゴ中部のワンバ地域である(図1)。ワンバでは、過去40年以上にわたって類人猿ボノボの研究がおこなわれている。1973年に、加納隆至先生がこの地で調査を始め、今日に至るまで、後に述べる内戦の時期を除いて、延々と研究が続けられてきたのであ
2017年9月29日、国連人権理事会が、同性愛行為を死刑の対象にすることを非難する決議を実施しました。日本は反対票を投じました。つまり、日本はゲイを死刑にするのは人権侵害じゃないと思っているってこと。 詳細は以下。 Why did the US vote against banning the death penalty for gay people? · PinkNews ILGAの報告によれば、同性愛行為は現在世界72か国で違法とされており、うち6か国では死刑の対象となっています。9月29日、国連人権理事会は、「背教、冒涜、姦通、合意上の同性関係など、特定の形態の行為に対する制裁」としての「恣意的な、または差別的な」死刑に抗議するための決議をおこないました。この決議で、47の理事国中27か国が賛成票を投じ、13か国が反対、7か国が棄権したとのこと。Independentによれば、抗議に
宇宙におけるある事柄について、とくに強く訴えた宇宙飛行士がいる。 その男の名はジム・ラヴェル。 とある宇宙飛行と、ある映画の大ヒットによって非常に有名になった男である。 この名前が出ると恐らく普通の人間なら「もっと宇宙飛行は安全性を考慮すべきだ!」と思うかもしれない。 しかしラヴェル船長はアポロ13号にて帰還した会見にて最も困難だったことについて触れているが、それはアポロ13号が戻ってくるかどうかよりも彼にとって重要な事柄だった。 これは彼が3度も遭遇した受難の記録であり、彼の自伝を読むと何度もその件について触れている記録。 ではまず、アポロ13号からはすこし時を戻す。 1961年。 公式記録上、人類が初めて空を飛んだ日。 この日を境にして人は地球の外を飛ぶようになる。 米国は自国の遅れから大急ぎで宇宙船を急造して飛ばすが、ハッキリ言えばマーキュリー計画とは核弾頭の代わりに人を核ミサイルに
しばらく前に、建築家の安藤忠雄さんが児童図書館を建設し、大阪市に寄付することが報じられた。9/20付朝日新聞の記事「安藤忠雄さん「こども本の森」建設、寄付へ 大阪中之島」の一部を引く。 建築家の安藤忠雄さん(76)は19日、大阪市北区の中之島公園に「こども本の森 中之島」(仮称)を建設し、大阪市に寄付する考えを明らかにした。 施設の場所や広さなどの概要については、記事では以下のようになっている。 建設予定地は市が管理する敷地で、鉄筋コンクリート造り3階建て。延べ床面積は約1千平方メートル。1階から3階まで吹き抜けの壁一面に本棚を置き、子どもたちが本に囲まれた空間で自由に読書できるようにしたいという。蔵書数などは未定だ。 広さは坪換算だと約300坪。2019年の開館を予定しているという。 なぜこのようなことを思い立ったのかについて安藤さんは、《「新聞や本を読まない子どもが増えている。市民が社
博物館とは学びの場所だ。近年各地で設立された鉄道系の博物館も、本来なら学びの場所のはずである。しかし、日頃交流のある学生や、たまたま仕事で顔を合わせた鉄道好きを自称する大学生などに鉄道系博物館での学びについて聞いてみると、「学べない」との返事や「学べる要素がない」とのつれない返事が返ってくる。揚げ句に「子供の遊び場だから行かない」が付け加えられることすらある。 鉄道系博物館が標榜する「学び」というのは何なのであろうか。一部の鉄道好きが「学べない」と感じる要因を考えてみよう。 収蔵物の背景を説明しているか 博物館とは、欧州の富豪や権力者などがその権力や経済力によって古今東西から収集した珍品陳列展示館などがその発祥といわれている。世界の珍しいものを集めて展示して見物人から見学料を取る、権力や国力を示すものが、いつしかその収蔵物、展示物にその素性を語らせ、それを知識や知見として見学者に与えるとい
(人の名まえに敬称をつけるかどうかはいつも迷うが、今回はとくに意味もなく不ぞろいになることをおことわりしておく。) 【[補足 (2017-10-08)] ネット上(Twitterほか)のいろいろなかたのご指摘によって知った情報を追加した。】 【[補足 (2018-09-05)] 日本海洋学会の雑誌『海の研究』に、小栗 一将さんによる、石黒 鎮雄さんの研究業績などについての解説(小栗, 2018)が出た。わたしにとって新しい興味深い情報をふくんでいるが、このブログ記事には まだ反映できていない。 小栗 一将, 2018: 石黒鎮雄博士の業績 -- 観測機器・実験装置の開発とアナログコンピューティングによる海洋現象解明のパイオニア。海の研究 (日本海洋学会), 27: 189-216. https://kaiyo-gakkai.jp/jos/publications/uminokenkyu/b
「動物の賢さがわかるほど人間は賢いのか」。ずいぶん挑戦的な問いかけであるが、本書の内容もそれに負けず劣らず挑戦的である。 フランス・ドゥ・ヴァールは、ベストセラー『チンパンジーの政治学』といった著書もある、世界的に著名な霊長類学者である。そんな彼が本書で試みていることはおもにふたつある。ひとつは、彼の提唱する「進化認知学」というアプローチを明らかにすること。そしてもうひとつは、「唯一無二の人間」という見方(ないし偏見)を克服することだ。 第一の点について、象徴的なエピソードから始めよう。テナガザルは樹上性の小型類人猿で、ヒトや大型類人猿とも近縁な存在である。だがそんなテナガザルが、かつて行われた認知テストで意外なほど成績がわるかった。そのテストとは、棒を拾い上げて食べ物を引き寄せるという一見単純なものである。では、そんなテストでさえうまくパスできないのだから、テナガザルは「愚か」だというこ
宇宙線研究所 @ICRRpr そういえば、スーパーカミオカンデのジグソーパズルを作りました。激ムズです。光電子増倍管だらけで……。正直、最後まで完成できるかわかりません。柏キャンパスの一般公開で限定発売します。 pic.twitter.com/p7KvapUcER 2017-10-03 22:06:28 宇宙線研究所 @ICRRpr (´-`).。oO(さっきのジグソーパズルの写真を撮るためにはずした4ピースを元どおりにするだけでも、大変だったことは、こっそりお伝えします。) 2017-10-03 22:13:56 宇宙線研究所 @ICRRpr 大事なことを言い忘れていました。先ほどのジグソーパズルやノートの売上の一部は、宇宙線研究所の若手研究者の雇用や研究環境の整備など、研究所の運営に使われます。ご寄附の意味でもよろしくお願い致します。 2017-10-03 22:33:19
ちょっとのコツ。「おいしい」が変わる。 こんにちは。ヒッサンです。 おいしいパスタ食べてますか?なんだか、自分で作るパスタがあんまりおいしくないと感じる方。まずはこのページを見てください!他は置いておいていいから! いままで、いくつかのパスタのレシピを紹介してきました。でも、思えば本当に基本の本当に大事な部分をちゃんと説明できていないな、と。これはいかん! というわけで、この「本当に旨いペペロンチーノ」の作り方を今回は紹介しようと思います。 今回紹介するペペロンチーノには、具は入れません。パスタだけ。 ベーコンも、その他の野菜も、何にもなし。最低限だけです。 シンプルだからこそ、とっても難しいです。でも、ここで紹介するレシピをマスターしておけば、あとの応用はいくらでもできます。 だからこれでけは覚えてほしい!よーく覚えてください! ポイントは3つです! 「ゆで汁の塩加減」・「乳化」・「火加
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