このコラムでは、ベーシックインカムと呼ばれる現金給付政策について解説する。筆者がこのコラムを執筆するきっかけとなったのは、菅義偉首相のブレーンと目される竹中平蔵氏が最近、頻繁にベーシックインカムに言及していることである。 筆者は、かねてよりベーシックインカムには懐疑的であるが、そんな折、ならばなぜお前はベーシックインカムに反対なのかちゃんと書き残してみろと、編集部よりご依頼を頂戴した。せっかくの機会なので、ここで幾つかの説明を試みたいと思う。 まずは「定義」からはじめよう お決まりの議論のパターンではあるが、ベーシックインカムとは何かということを定義づけておきたい。ベーシックインカム(Basic Income)とは、政府が、個人に対して、無条件に、一定の現金を、定期的に配る制度のことである。 誰もが受給できるという普遍性を強調してユニバーサルベーシックインカム(Universal Basi
