桜庭一樹『読まれる覚悟』(ちくまプリマー新書) 小説家・桜庭一樹が、小説を発表する上での心構えを綴った新書『読まれる覚悟』(ちくまプリマー新書)を刊行した。 小説は、人に読まれてはじめて完成する表現であるため、多くの人に読んでもらいたいと願うのは小説家の性だろう。一方で、小説が多くの人に読まれれば読まれるほど、誤読や批判が起こるのも避けられない。本書は、そんなときに書き手の心を守り、読む/読まれるという営みをいっそう豊かにしていくための「読まれ方入門」だ。 SNSの登場以降、多くの人々の意見が可視化される中、創作物をめぐる言説もまた目立つ状況となり、作家と批評家の間で論争が起こることもあれば、熱心なファンたちによって筋の通った批評までもが炎上することもある。桜庭自身も発表してきた作品を巡って、さまざまな問題と向き合ってきたという。その経験を踏まえて執筆された本書で、桜庭はどのような考えに達
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