「原発事故があった福島だからこそ、環境にやさしいコットンを作って発信していきたい」。そんな思いから、福島県いわき市を中心にオーガニックコットンの栽培を続けている団体がある。「ふくしまオーガニックコットンプロジェクト」。代表の吉田恵美子さん(66)は、2011年3月の福島第一原子力発電所の事故による農作物への風評被害に心を痛めていた。そこで思いついたのが、「食べ物がだめならば着る物をつくればよい」ということ。2012年春にプロジェクトを発足させると、風評被害や後継者不足から耕作放棄地となってしまった畑を借り受け、有機栽培の綿畑を順調に増やしてきた。ただ、事故から10年あまりがたち、活動は曲がり角を迎えている。活動を支える各種の補助金が減っていく一方、収穫したコットンの販売先を失い、多くの在庫を抱えてしまった。このままでは活動の継続は難しい。「自分たちの代だけでこのプロジェクトは終わりではない