整形外科医の大曽根三カ衛は、あるとき、繭村甲斐子という二十歳の女性から「計画」と題されたレポート用紙の束と、それに添えられた手紙を受け取る。全身整形の計画書とその執刀の依頼だった。けれど、彼はもう手術を行っていない。断りの連絡を入れると、しかし、甲斐子は食い下がった。会うだけでもいいから会って欲しいと懇願され、大曽根はそれに応じる。気の毒に思ったからだ。ちらっと見ただけだが、その「計画」書には、整形希望箇所としてさまざま部位が記してあった。目、鼻、口、頬、そして脂肪吸引。そこから想像できるのは、目が小さく、鼻が低く、歯並びが悪く「三日間水につけておいたままの麩のようにだらりと曖昧な」顔立ちの「ぶよぶよと太」った女性。「他人からさんざんに醜女だのおかめだのとからかわれ、いじめられてきた、かわいそうな、だが、もうしわけないけれども大曽根もまたかかわりたくないような『しみったれた雰囲気の娘』」だ