〈マンガ今昔物語〉第12回 プロ棋士の生きざまを見よ![掲載]2011年2月23日朝刊[文]伊藤和弘3月のライオン [作]羽海野チカ そろそろ3月……。ということで、今回は「ヤングアニマル」連載中の羽海野チカ『3月のライオン』を取り上げたい。印象的なタイトルは、「3月はライオンのようにやって来て、子羊のように去っていく」というイギリスのことわざの一部に由来している。 連載が始まったときは、『ハチミツとクローバー』の羽海野チカが青年誌で、しかもプロ棋士の少年を主人公にしたことで話題を呼んだ。ふわふわと柔らかい絵柄や「ハチクロの作者」という先入観を裏切って、これが実に本格的な将棋マンガとなっている。最近、青木幸子『王狩』、南Q太『ひらけ駒!』と「女性作家による将棋マンガ」が増えているのは本作の影響かもしれない。 将棋マンガといえば、『月下の棋士』が有名だ。『哭(な)きの竜』と並ぶ能條純一の代表