「縄文の豊かな精神性を多くの人に伝えていきたい」と話す学芸員の坪井睦美さん=北海道函館市臼尻町で2021年7月19日、真貝恒平撮影 「最初は縄文文化に全く興味がなかったんです」。27日にも世界文化遺産に登録される見通しの「北海道・北東北の縄文遺跡群」を構成する垣ノ島遺跡(函館市)で、道南歴史文化振興財団の学芸員、坪井睦美さん(67)=同市=は屈託のない笑みを浮かべた。発掘調査を手伝い始めた当時は専業主婦だった坪井さんが縄文に魅せられたのは、太古の昔から変わることのない子を思う親の気持ちだった。【真貝恒平】 坪井さんは大船、垣ノ島両遺跡がある旧南茅部(かやべ)町で生まれた。子どもの頃、近くの山で土器や石器を見たことはあるが、「近くに縄文時代の遺跡があることぐらいで、遺跡を知るきっかけもなく…」と振り返る。