[0101] 「ランドスケープの倫理学(一)」において我々は、近代の景観の範型を19世紀後半(厳密には、第一次大戦前まで)に置いて、これを基準として、現在に至る景観の変容と、それに対する人々の問題意識の諸類型を提示した。我々のタームで言うならW.ベンヤミンの『パサージュ論』は、まさにこの「景観」として--19世紀全体*を問題にしているのであるが--この時代について分析を加えたものである。しかしながら、このテキストには実に様々な解釈がなされている。これは、(テクスト解釈論的に)様々な解釈を可能にするテクストの豊穣性といったこととしてではなく、そもそもなぜそのように多様な解釈がなされるのかといった問題性として了解されるべき事態である。それは当然、ベンヤミン論そのものとしては、最も妥当な解釈の確定として問題とされなければならないであろうが、我々はこの事態に、解釈の多様性といういわば社会学的事実と