2025年2月5の『クローズアップ現代』が報じた「ロシア “死の経済“の実態」は、ロシア経済が戦争によって回り、戦場での死が経済の一部として組み込まれているという視点を示したものであった。貧困層が高額な報酬に惹かれて戦場に向かい、戦死することで遺族が多額の補償を受け取るという構図が描かれ、「戦争経済がロシア社会を蝕んでいる」と批判していた。確かに、ロシア経済の軍事依存度が高まり、戦争が国家財政に大きな影響を与えていることは事実であろう。しかし、本「戦争によって経済が回る」構造をロシアだけに限定し、まるで特殊な異常事態であるかのように扱っている点には、どうしてもプロパガンダ臭を感じた。 同番組ではロシア経済が制裁によって疲弊しているかのような印象を与えるが、実際にはロシアはBRICSを中心とした非西側諸国との経済連携を強化し、その恩恵を受けている。たとえば、ロシアの対中国貿易は2023年には