経済を一変させる規模の油田やガス田を発見することはめったにない。だが先週、イタリア炭化水素公社(ENI)はそれをやってのけた。エジプト沖の海底に「超巨大なガス田」を発見し、世界最大級のガス田の可能性があると声高に宣言した。「ゾフル」は怪物で、地中海で発見されたガス田としては最大だ。同ガス田は海底よりはるかに下の約1500メートルの深さにあるが、既存のインフラで到達可能な位置であるため、開発は比
日本経済新聞社は23日、英経済紙フィナンシャル・タイムズ(FT)を発行するFTグループを、教育事業や出版を手がける英ピアソンから8億4400万ポンド(約1600億円)で買収することで合意した、と発表した。国内メディアによる海外企業の買収で過去最大規模になるという。 買収するのは、FT紙のほか、雑誌、ウェブサービスなど。ピアソンが持つFTの本社ビルや英経済誌「エコノミスト」グループの株は含まないという。 老舗経済紙のFTは、世界のビジネス界で強い影響力を持つ。近年は新聞紙面だけでなく、デジタルでの発信にも力を入れてきた。日経も特にアジアでの国際的な情報発信に注力。経済ニュースや解説といった情報で両社の顧客基盤を生かし、グローバルな情報発信力を高める狙いだとみられる。今後、日経とFTは記者や編集者の人的交流を拡大するという。 日経とFTはこれまで、互いの記事を翻訳して紙面やウェブサイトに掲載す
米国防総省の元アドバイザーによると、中国がレアアース(希土類)の国際市場における支配を維持する可能性は低いという。ユーザーがレアアースの消費の効率性を高めるとともに、代替的な調達先を見つけたためだ。 2010年に中国が輸出制限を課し、供給量を制限することで貿易戦争を仕掛けた後、レアアースの価格は急騰した。レアアースを採掘する鉱業会社の株価も急上昇した。 ランタンやジスプロシウムなどのレアアースは、巡航ミサイルなどの兵器システムを含む多くの先進技術にとって欠かせない材料で、中国は当時、世界の供給量の約97%を支配していた。 だが、それ以来、レアアースの価格は大きく下げ、米国のモリコープやオーストラリアのライナスを含む生産者の株価も急落した。 価格高騰で中国以外のサプライヤーへの投資が増加 テキサス大学の経済学者で2010~12年に米国防総省でレアアース問題に取り組んだユージーン・ゴルツ氏は、
(2014年8月1日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) 「イラク・シリアのイスラム国(ISIS)」のジハード戦士たちが6月にシリア東部から飛び出し、イラクの北部と中部に攻め込んだ時、彼らはカリフ制国家の樹立を宣言しただけでなく、オスマン帝国のアラブ領地を分割し、全く異なる宗派と民族を欧州式の国民国家に投げ入れた1916年の英仏秘密協定「サイクス・ピコ協定」を破棄したと述べた。 だが、自らの帝国の利益を拡大するために第1次世界大戦後に英国とフランスが作り出したイラクとシリアは、すでにバラバラになり始めていた。 2003年の英米の侵略によって粉々になったイラクの事実上の分離もかなり進行していた。2011年に自身の専制政治に対する反乱が起きてから、バシャル・アル・アサド政権が自国民に無慈悲な戦争をしかけてきたシリアは、すでに宗派の線に沿って分解しつつあった。 1世紀前に逆戻りしたように見える中東
(2013年7月5日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) エジプト・カイロにあるタハリール広場の地下鉄の看板の上で国旗を掲げる人々〔AFPBB News〕 ガソリンの行列、下落する通貨、かつて立派だった観光業の衰退は、エジプト軍によるムハンマド・モルシ大統領の追放に効果的な背景を提供した。そして、モルシ氏の後継者を待ち受ける大きな問題がどういうものかを知るヒントを与えている。 1年前にモルシ氏が大統領に選ばれてから、エジプトの慢性的な経済難は危険なほど深刻化しており、新政府は現金と構造改革、一息つける時間を是が非でも必要としている。以前より貧しく、気短になったエジプト国民は、そうした余裕を簡単に与えてくれそうにない。 7月3日に起きた異常事態の後、アドリ・マンスール氏率いる暫定政府が権威を確立しようとする中、エジプトの直近の騒乱に火を付けた不安定な政治を掌握するには、機能不全に陥った経済を蘇
(2013年5月23日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) ニュージーランド、ベトナム、ペルー、日本、米国には、共通点が2つある。まず、これらの国は皆、環太平洋経済連携協定(TPP)に参加したいと考えている。TPPは新たな貿易協定で、世界貿易機関(WTO)の多角的通商交渉(ドーハ・ラウンド)が頓挫して以来、自由貿易の世界で最大規模を誇る枠組みだ。第2に、どの国も中国ではない。 2つの共通点は密接に関係している。口に出す人はいないが、TPPの暗黙の狙いは、世界第2位の経済大国である中国を排除した「ハイレベル」な貿易協定を築くことだ。 現在参加を望んでいる12カ国(上記の5カ国のほか、カナダ、メキシコ、チリ、マレーシア、シンガポール、ブルネイ、オーストラリア)は世界の国内総生産(GDP)の4割、国際貿易のおよそ3分の1を占めている。これは中国が参加を禁じられることになる大きなクラブだ。 TPPの
(2013年2月1日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) 奇跡的に蘇生した日本のラザロ?〔AFPBB News〕 日本の政界のラザロとでも呼ぶべき安倍晋三氏は、ものすごい勢いで墓から飛び出してきた。 不祥事と選挙での敗北、体力を消耗する腸の病気に見舞われる中で2007年に失った首相の座に返り咲いてから1カ月。国家主義の安倍首相は止められない勢いを見せている。 まるで、ペースを落とそうものなら政治的な死後硬直が戻ってきかねないと恐れているかのようだ。それもあながち間違いではないかもしれない。 アベノミクスで市場を沸かせ、支持率を伸ばす安倍首相 今のところ、安倍氏は金融市場を大喜びさせ、財政・金融刺激策の攻勢で経済再生と長年のデフレからの脱却を狙う「アベノミクス」で支持率を伸ばしている。公共投資による景気刺激策に満ち満ちた日本の歴史において、13兆1000億円の補正予算という過去最大級の刺激策を
(2012年9月25日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) インドの首都デリーから郊外に向かって伸びるハイウエー沿いには、「エキゾティカ・ドリームビラ」などと名付けられた新興住宅地の広告がいくつも掲げられている。 手入れされた芝生の上に立った若い夫婦が微笑んでいる絵が描かれ、「ライフスタイルここにあり」といったキャッチコピーが添えてあるのが典型的なパターンだ。 トイレも整備されておらず、子供が栄養失調に苦しむインドの現実 しかし、このハイウエーを走り続けて隣のウッタルプラデーシュ州の奥深くに入り込むと、エキゾチックでもなく夢も感じられないライフスタイルが目に飛び込んでくる。ブダウンという都市の郊外では子供たちの多くが栄養失調の徴候を見せており、不潔な街中をヤギや水牛、雌牛やラクダが歩き回っている。 この地区では現在、国連児童基金(ユニセフ)がすべての家屋に近代的なトイレを設置するキャンペーン
(2012年7月9日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) 津波に見舞われた福島第一原子力発電所の事故を調査する委員会のトップ、黒川清氏は、この原子力危機の根本的な原因は日本文化の欠点にあると考えている。果たして本当にそうなのだろうか? この問いの答えは全世界にとって重要だ。福島第一原発では昨年3月に原子炉がメルトダウン(炉心溶融)を起こし、この四半世紀で世界最悪となる原子力危機に発展した。 同原発がなぜこれほど脆弱だったかを理解しておくことは、各地にあるほかの原発での事故を防ぐうえで極めて重要なことになる可能性がある。 事故の背景に文化的な欠点の兆候を見いだすのは容易だが・・・ 黒川氏は医学博士で、日本学術会議の前会長でもある。今回の災害が「日本製(メード・イン・ジャパン)」だったと主張するための弾薬には事欠かない。 黒川氏の率いる国会事故調査委員会はその最終報告書で、規制当局と電力業界が甘
(2012年2月28日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) 「なぜ国際社会がこんなことが起きるのを見逃せるのか、ここにいる人は誰も理解できない」。メリー・コルビン氏はシリアのホムスで受けたインタビューで、こう言った。彼女自身がシリア政府軍の爆撃で命を落とす1日前のことだ。 勇敢な戦争ジャーナリストであるコルビン氏は、国際政治の世界で繰り返し生じるジレンマを的確に指摘していた。外部の世界には、一般市民の大虐殺を食い止めるために介入する義務があるのかどうか、ということだ。 人道的には介入を望むのは当然 ひどい残虐行為を間近で見る人は、概してコルビン氏のような反応を示す。筆者が知っているジャーナリストでボスニア戦争をカバーした人は、ほぼ全員が固い信念を持った外部介入支持者になった。 これは人間として自然な反応だ。何しろ、来る日も来る日も罪のない人が死んでいくのを目の当たりにする。しかも、自国には膨
(2012年1月31日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) 米国大統領の座を目指すニュート・ギングリッチ氏の選挙運動は、ほかのことはともかく、素晴らしい新フレーズを生み出して英語に貢献した。 先週ダボスにいた筆者は、至るところに掲げられた世界経済フォーラム(WEF)のスローガン「世界の現状改善に向けて取り組む」を見るたびに、ギングリッチ氏の造語「pious baloney(偽善的なたわごと)」が頭に浮かんだ。 グローバル化の祭典に集まるエリート層の不安 衝撃的に思えるかもしれないが、毎年ダボスを訪れる銀行家やビジネスマン、オリガルヒ(新興財閥)、独裁者といった多種多様な面々は、主に利他主義を動機としているわけではない。 それでも今年のダボス会議では、格差に関する苦悩が目立った。道義的な不安感を映した苦悩も多少あったのかもしれない。だが、それ以上に重要だったのは実利主義だ。 ダボス会議は事実上
多くの欧米人にとって、エジプトの民衆蜂起は無上の喜びだった(写真は今年2月、エジプト・カイロのタハリール広場で、ホスニ・ムバラク大統領の辞任を喜ぶ人々)〔AFPBB News〕 いまにして思えば、すべてがあまりにもナイーブだった。 フェイスブック革命を取り巻いていた、あの興奮を覚えているだろうか? ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を通じて団結し、軍事独裁者を倒す今風の若いエジプト人たちの姿は、多くの欧米人にとって、抗いがたいほど魅力的なものだった。 我々はタハリール広場の若者たちとともにあった。彼らは我々の観念と我々のガジェットを用い、老いて柔軟性を失った独裁者を倒した。その姿を、あの夜明けにCNNで観たことは、無上の喜びだった。 イスラム系政党が選挙で躍進 しかし、エジプトの人民議会選挙の第1回目の結果が明らかになった今、状況はもう少し複雑だということが分かってきた。3分
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