旅行の荷物は、どう選ぶべきか。何が必要で、何がいらないか。 これは、数多くの先人たちが意見を具してきたテーマである。 使い慣れたアイテムをできるだけ持ち込む「詰め込み派」。 パスポートとスマホさえあれば良しとする「ミニマル派」。 帝国主義打倒・スターリン主義打倒を掲げる「革マル派」。 そこには、それぞれの哲学があり、思想があった。ときに派閥間の武力衝突が起こったり、起こらなかったりした。 こうしたおそるべき状況にあって、私はミニマル派寄りの個人主義を奉ずる者だ。 この派閥は、「荷物は少ないのが良いと思う。でもまあ、これは《良い悪い》じゃなくて《好き嫌い》の世界だよね」と、いささか軟派な発言をみせることで知られている。 そんなわけで、私が以下に陳述する事柄は、頭から尻尾まで趣味の領域に属する話である。この意見に与しない読者諸氏を排斥しよう、などといった意図はみじんもない。 逆もまた然り。本稿