夫婦ゲンカの末、自宅に灯油をまいて放火したとして、現住建造物等放火罪に問われた元タクシー運転手古川久被告(47)。火は育ち盛りの子供2人の命を奪い、ローンの残るマイホームは灰と化した。「まじめで子煩悩な父親」(弁護側)が、突然の凶行で失ったものはあまりにも大きい。(森田啓文) 「ケンカ自体はいつものことでした。なぜこの日に限って、火を付けてしまったのか。愚かでした……」。5月29日の初公判で、古川被告は弁護人の質問にうつむいた。 事件直前、被告は妻と長女との間で口論になっていた。寝室からふすま1枚隔てたリビングに向かい、「うるさい。あしたは朝が早いから静かにしてくれ」とどなる古川被告。長女が「うるさい」と言って自室に戻った後、妻と「ブス、デブ、バカ、ゲス」「死ね、死ね、死ね」と言い合いになった。 途中で2階に上がる妻を追いかけた時、玄関の灯油タンクが目に入った。それが火を付けたきっかけだと