すでに日本で盛大に報道されている上海福喜食品工場の保存期限切れ肉問題について、遅ればせながら取り上げようと思う。というのも、この問題は、日本で報道されているのと中国で報道されているのと、かなりニュアンスが違うのである。 地元上海のテレビ局記者らが従業員に変装して2か月あまり潜入取材した結果、暴いた食品工場の数々の組織的な「食品安全法違反」の実態は、衝撃的な映像もあり、またその商品の一部が日本にも輸入されていた可能性があるということで、日本では2007年の毒餃子事件以来のショッキングな「中国の食品安全問題」として報じられた。だが、中国では外資食品企業へのバッシング報道の色が強い。 中国の報道ぶりを見ながら、このニュースの背景について一考してみたい。 「食品工場のブラックホール」に潜入 まず、最初のきっかけとなった報道を簡単に振り返る。7月20日、上海テレビの新聞総合や上海東方衛視などで潜入取