90歳を迎えても主演映画『九十歳。何がめでたい』が公開されるなど、女優として活躍する草笛光子さん。1933年生まれの草笛さんは、その子供時代を、戦争の真っ只中で過ごす。いまや数少なくなった戦争を知る者として、最新刊『きれいに生きましょうね 90歳のお茶飲み話』で、戦争への思いを、歯に衣着せず語っている。(全3回の1回目/#2、#3を読む) ◆◆◆ 誰がこの子に、こんな思いをさせたのか 私はいま、憤っています。そして、可哀想で可哀想で涙が止まりません。この写真は、何度見てもダメ。「焼き場に立つ少年」という写真です。小学校中学年くらいの坊主頭の男の子が、死んだ弟を背中におぶって、火葬場で順番を待っている写真。昭和20年、原爆が投下されたあとの長崎で、アメリカの従軍カメラマンが撮影したそうです。
