私は子供の頃、香川県のとある町に住んでいた。 休みの日になると、よく午前中から友達の家に遊びに行き、友達のお母さんにお昼ごはんをご馳走になった。 そこで振る舞われるのは当然うどんである。 友達が私のうちに遊びに来た時に、私の母がうどんを振る舞うこともまたよくあった。 そして、誰の家のうどんが一番美味しいのかという話で盛り上がるのだ。 私の住んでいた地域では、親のうどんを作る腕前が子供の学校内での地位に影響を及ぼすことがしばしばあった。 しかし所詮は家庭で作るうどんであり、お店で出てくるようなレベルには及ばないような、あくまでささやかなランク付けだ。 だが私が小学5年生の頃、事件が起きた。 隣のクラスのS君の家で出てくるうどんが途轍もなく美味しいという噂が学年中を駆け抜けたのだ。 それまでS君の家のうどんランクは精々上の下といったところだったのだが、なんとS君のお兄さんが作るうどんは彼の両親