世の中には、意味が広がりすぎて何を指すのか良く分からなくなっている言葉があるが、
最近では「クラウド」はその代表的なものだろう。
米国ではずいぶん前から、個人がソフトウェアとかを出来る限りダウンロードせず、Webアプリを活用したり、
メールもメールソフトを使ってメールをダウンロードせずに、GmailなどWebメールだけを使ったり、
自分のデータを全てEvernoteやDropboxなどのWebストレージに保存して、手元にデータを置かないようにしたり、
という、「個人が手元のコンピュータにデータやプログラムを置かずにWeb上のものを利用する」
一連の行動もCloudと呼ぶようになった。
ネットにつながってないと使えないので不便ではあるが、
場所を変えたり、パソコンを変えても、全く同じデータと機能を使えるという便利さが、次第に受け始めている。
ところが、最近の日本では、それ以上に意味を拡張した言葉として使われ始めているように見える。
「手元にモノを出来るだけおかずに、電子化する、人様から借りる」という行為自体を、
(ファイルをPCなど手元に置いている場合でも)「クラウド」と読んでいる人が増えてきている。
例えば、今まで紙で持っていた本や書類を電子化して、紙を捨てることとか、
カーシェアリングを活用して、自身は車を持たないことまで「クラウド化」と呼んでいる人がいる。
この言い方は面白いなと思いつつ、「そんなこと言ったら、私は昔からクラウドだよ!」と思ったので、
ちょっとおふざけ半分で主張しておく。
私は、小さい頃から読書家だったが、ウチはそんな裕福ではないし、家も狭かったので、全部図書館で借りていた。
週に一度はママと弟と図書館に遊びに行き、大量の本を借りて帰った。
何度も読みたい本は、何度も借りて読んでいた。
元々私は手元に本なんかほとんど無く、図書館が私の巨大な本棚だったわけだ。
車も無かったので、必要なときは、ママが友人から借りていた(当時は保険の制度もゆるかったんだなあ)。
Zipcarなんて無かった頃から、ウチはカーシェアリングだったわけだ。
そもそも家なんて長いこと借家だったし。
一方で、クレジットカードなんてものは私はかなり若い頃から持っており、
アメリカ人みたいに余り小銭を持ち歩かず、小額決済でもカードを使う変な癖がある。
お金も昔からクラウドだったわけだ。
そんなわけで、「手元にモノを出来るだけおかずに、人様から借りたり人とシェアしたりすること」まで「クラウド」と呼ぶなら、
私のことは今後、「クラウド・ネイティブ」と呼んで欲しい(笑)
(わたしゃデジタル・ネイティブにはなれないが、クラウド・ネイティブにはなれる!という思いを込めてw)
手元にモノをおかずに済ますのは昔から慣れている。
という冗談はともかく。
私は、昨年2月に持っていたパソコンが壊れて、当時出たばかりのSSDを使ったHPのネットブックを買った。
SSDは普通のハードディスクと違い、読み込み速度が約3倍近く速く、20秒程度でWindowsが起動するのが特徴だが、
同時にハードディスクの容量が16GBと小さかった。
これだと、プログラムファイルなどを除き、本人が利用できるスペースは5GB程度と非常に小さいのだ。
昨年4月のブログ記事「ネットブックの未来」にも書いた通り、それ以来私はネットブックを「メインマシン」として使っている。
言ってみれば、完全「クラウド」生活である。
例えば個人メールはWebメールをずっと使っており、Outlookのようなメールソフトを使ってメールをダウンロードする、ということはもう長いことしていない。
Webサーバ上で使える機能だけを使い、サーバ上にメールデータを全て残したままで生活している。
(まあiPhoneだけは一時的にダウンロードしてるけど)
利点として、自分のPCの上に大量のメールや添付ファイルのデータをダウンロードせずに済むこと。
どのPCや携帯電話などのデバイスを使っても、どんな環境からも同じデータにアクセスできることだ。
これは、私のように海外生活をしていたり、旅行を頻繁にしている人にとってはとても便利だ。
写真も音楽も映像もファイルも、全てのデータはネット上のストレージサービスに保存するようになった。
このようなストレージサービスは、Google Picasaにせよ、Evernoteにせよ、Dropboxにせよ、
Webにアップロードするためのソフトをインストールする必要があって、それだけがイヤなんだけど、
まるで自分のPCに保存する感覚でWeb上に保存できるのは便利だ。
米国に住んでると、PCを置きっぱなしにして盗まれたなんて事件はしょっちゅう起こる。
仮にPCが今この瞬間、壊れたり、盗まれたりしても、困らないようにするためにも、
Web上(クラウド上と呼んでも良いが)に全てのデータを保存しておく、というのは自衛手段でもあるのだ。
最近はiPhoneやiPadを利用する人も多いと思うが、Webストレージを使えば、お金の節約にもなる。
だってiPadなんて16GBなら499ドルですむのに、32GBに増やすと100ドルも高くなるのだ。
Googleのストレージが80GBで年間20ドルで済むことを考えると、
単純計算ではこっちを5年間使ったほうがずっとお得なわけで、
容量が大きいものを購入するなんて本当にバカバカしくなることだろう。
ソフトウェアも、私は出来るだけインストールが必要なものは使わず、Webアプリで済むものを使っている。
Microsoft Officeだけは頻繁に使うのでインストールしているが、他のものは出来る限りインストールしないで済ませている。
例えば、Twitterクライアントも、ダウンロードが必要なTweetDeckなどは使わず、Webにアクセスするだけで使えるHootsuiteを使っている。
クラウドの最大の問題点はセキュリティであるといわれている。
先日も、中国で個人のGmailアカウントがハッキングされたなんて事件が起こったばかり。
Amazonのクラウドサービスの脆弱性が指摘されたりと、色々問題は指摘されている。
けれど企業ではなく、個人のレベルの場合は、多くは単にパスワードが人為的に漏れることによる問題が大きいといわれているので、
とにかくパスワードの設定と管理には気をつけることだ。
最近は個人のパスワードを盗むためのフィッシングの手口も多様化している。
自衛手段は、パスワードを頻繁に変える、推測されにくいスワードを使う、サービスごとに異なるパスワードを使う、というのが古くからの手段だが、
そんなの分かってるけど、忘れちゃうし、変えるの面倒だからと、同じパスワードを全てのサービスに長年使っている人は多いのではないか?
こういう人が、フィッシングにあって、パスワードがばれてしまったりすると事である。
私なりに伝授できるコツは
・自分なりのパスワード生成のアルゴリズムを作っておき、頻繁にパスワードを変えても、覚えて置けるようにしておくこと。
具体的には、複数の言葉や数字の組み合わせにしておき、その組み合わせに自分なりの規則を持たせることだ。
・自分でサービスのリスクレベルを設定しておき、リスクの高いものはパスワードを難しいものにしておく。
間違っても、漏れる可能性の高い普通のウェブサービスと、オンラインバンキングのユーザ名やパスワードを同じものにしてはいけない。
あとは、共有のPCなどを使った際に、ログアウトするのを忘れないこと。
こういうことだけ気をつけていれば、セキュリティの問題もほぼ無く、楽しいクラウド生活を送ることが出来るだろう。
これがワイヤレスネット&モバイル環境がもっと高速・カバー範囲拡大すれば、このクラウド環境が当たり前になります。EvernoteがVAIOに標準搭載されますが、こうしたクラウドサービスがネットブックやモバイルデバイスにデフォルト搭載されるようになるのは時間の問題で、ネット接続が当たり前・オフライン化が特別という未来も何ら不思議では無いというわけです。
ID、パスワード個別に変えなきゃとは思っているんですけどね・・・個別に設定すると、その設定を記録しなければならない訳で、結局その記録が見られちゃうとあかんし、複数のパスを設定して忘れようものなら、サービスによっては数回のログインミスでロックかけられちゃうし、自分の記憶力は一番当てにならんし、ということでトラブったらその時考えよう的な結論に至ってます。
一番ダメなパターンですね、はい。
もしもですが、図書館の蔵書が書き込み自由で、個人の書籍も持ち込み出来たとしたら、それもクラウドなのではないかと思いました。
図書館のような場所を媒介としてネットと人の交流ができたら面白いですね。マネジメントの仮想書棚で書き込んでいて後ろを振り返ると心理学者がのぞき込んで、そのアイデアを使わせてくれとか言うのです。
様々なアプリケーションやデータがクラウドサービスになっていくことは間違いないかと思います。
アクセス回線の速さに関わらず、常時接続と等価かつ安価に用いることが可能ならば、アプリケーションやデータはネットワーク上のどこか(=クラウド)にある方が利便性が高い。
ただ、そのリスクは。
Lilacさんも指摘されているようにセキュリティに関する問題と、そのクラウドサービス運営している事業者の(ビジネスかつ運用技術)信頼度もあるかと思います。
後者の話は、まだ、あまり指摘されていませんが。
国内外を問わず、技術的問題や事業者解散による急なサービス提供の中止、しいてはデータの損失(や流出)の事例も散見されています。
クラウドと言えど、人間のやることですから、未来永劫続く完璧な運用はありません。
データを複数クラウドへ冗長保管するなり、手元にもコピーを保管されることをお勧めします。
このことを念頭において上手に利用されることが、人生を豊かにする一手段かと。
米国で生活を引き払うのって思った以上にトラブって手間取りますから、老婆心ながら日程には余裕を持つことをお勧めします。
さて、iPadのようなものが出てきて、今後もインターフェースがますます多様化するとなると、確かにクラウド化しておくにこしたことはないですね。
クラウドの情報漏えいリスクより、ハードの紛失リスクの方がコワイ。独立して仕事してみると、ますますそう感じます。
更に言えば、会社という組織というか会社員も"クラウド化"していく時代になっていくのではないかなぁとも。(佐々木俊尚さんはノマド化と呼んでますね)
いずれにせよ、"自前"より"出前"の時代がやってきた、ということでしょう。
クラウド・コンピューティングは悪魔の囁き
http://it.nikkei.co.jp/internet/column/mediabiz.aspx?n=MMIT12000029112008
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%91%E3%83%8E%E3%83%97%E3%83%86%E3%82%A3%E3%82%B3%E3%83%B3
便所が汲み取り式から、下水処理に変わったのも、
電気自動車用の充電スタンドが街中にできるのも、
全部クラウドっていうことになるのかな。。。
Oracle Corp.のCEO L.Erissonは、
「クラウドコンピューティングが何なのか分かる人がいたら教えてほしい、真剣だ」
って言っていた。(今年はじめのこと。)
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20100128/343852/
できることが変わらないのに、方法の変化に価値を
つけるのは商売には大いに役立つのかもしれない。
それ以上の価値を教えてほしいです。
ざるの中にお金いれてけみたいな・・・。
お金払ってないで持って行ってしまう人いると思うんですけど、食べ物のクラウド化最高ですね。