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働き方改革時代の新三種の神器とは

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 年末にボルテックの「オフィスツールと労働生産性の考察」という記事をニュースリリース経由で読んだ。

 この記事の中では日本生産性本部の日本の時間当たり名目付加価値額に着目したグラフを掲載して、バブル期以降はあまり上昇しているとは言えないと評価していた。個人的にはこの付加価値額というもの自体に懐疑的で、日本のそれが低いのは人件費(給料)が上がらないからで他国に比べて非効率だとは思っていないのだが、それはまた別稿で述べるとする。私が、気になったのはこの一節

1980年代には『OA三種の神器』と呼ばれるファクシミリ、複写機、オフコン(オフィス・コンピュータ)、電卓などが急速に普及したことで、オフィスでの文書作成業務は生産性が向上しました。

 このOA三種の神器の時代から、既にはや40年。現代の働き方改革に資する新OA三種の神器を選ぶとすると何だろうか。働き方改革全般で考えれば、三種の神器は、さながらリモートアクセス、柔軟な勤務制度(在宅勤務やフレックスタイム等)、Web会議といったところだろうが、OAというオフィス内の効率化に絞って考えてみる。
 私としては、働き方改革時代のOA三種の神器には、ペーパーレス決裁(&決済)、ダッシュボード(カンバン)、チャット(コメント)を提案したい。

 これまで組織内における意思決定や手続きでは、視認性や証跡記録確保の為に紙を使ってきた。先のOA三種の神器であるオフコン、複写機、ファクシミリも実のところ紙の作成、複製、送付を効率的に行うための物理的な機械だ。

 しかしそろそろ紙は無くなっても、いや無くしても良いはずだ。紙が残るから修正や配送、保管の手間が発生する。実物でまわすのには時間もかかるし、検索性もいまいちだ。既に伝票の電子化は受発注システムや会計システムによってかなり実現した。しかし、こと申請や決裁、経費清算や決済は未だに紙を使うことが多い。電子決裁(=ワークフローシステム)が導入されていても、なぜかそこから紙を出して印刷して回覧したり、印刷しないまでもEXCELで別シートを添付したりという紙の時代の業務のやり方をそのまま踏襲している企業は多い。
 経費精算の証憑はスマホで撮影して送付するだけ、社内の稟議書もシステムで素早く回して決裁、政府や役所への届け出も電子申請で書類を使わない。大きく頭を切り替えて、デジタル時代の働き方に変わるべきだ。
 くしくも、政府は電子帳簿保存法をどんどん緩和して後押ししている、電子政府の名のもとに手続きの電子化も進んでいる。ペーパーレス決裁(&決済)の仕組みを導入して業務改革を行うことで、紙前提のこれまでの仕事の手順やしがらみを一掃するべきだ。

 ペーパーレス化が進むとどうなるか、紙の運搬や保管が無くなるがその分パソコンのディスプレイ内で取り扱う情報が増える。今まで以上の情報が日々社内ネットワークを飛び交うことになる。
 こうした大量の情報を効率的に取り扱うためのツールとして、ダッシュボードが重要になる。それは現在のイントラネット内でよく見られるリンク集を纏めたポータルと呼ばれる社内トップページではなく、より動的に利用者ごとにパーソナライズされた画面を示す。
 よくできたダッシュボードでは、メールやスケジュールといった各自の行動に必要な一覧が表示されるだけでなく、電子申請や決裁の状況を確認できるデジタル未決箱や基幹システム上の受注データや売上データをサマライズしたグラフや表が一目で入手できる。
 最新のタスク管理手法では、以前と違いタスクを個々人で管理するのではなく、グループ内でタスクを皆で共有したほうが効率的だと言われる。このために、タスクをカンバン方式で表示できるツールも増えており、ダッシュボードにはカンバンをそのまま掲載できる。AIも進化中である。AIを使って人間では気づかなかったデータを発見できるようになった今、発見した情報を判断する人に伝えるためにもダッシュボードは不可欠なツールになる。

 働き方改革時代の最後の神器は、ビジネスチャットである。
 メール洪水が叫ばれて久しい。日本独自の宛先表記や時候の挨拶という謎文化もあって、メールは長くなる一方。そしてペーパーレス化によってさらにメールの数は増える。一日中メール画面しか見る暇がないなんてことになったら効率化などおぼつかない。
 企業でもチャットを用いてメールするほどでもない連絡、非同期でこまめに掛け合いながら進めた方が良い作業、ゆるーい相談やアイデア収集などはメールからチャットに切替えるべきだ。チャットでは挨拶は不要。単刀直入に要件だけ伝えればよい。未読既読も管理できる。ブレストなどもチェットで十分。
 正式な報告や定型の様式、記録に残すべき社外とのやり取りなどはメールとして、その他はチャットにするなどの大胆なすみ分けが働き方の革新につながる。
 チャットと似たような機能でコメント機能も神器になりうる。企業内で良く行われる文書の添削・修正については、印刷して紙に赤入れするのではなくWORDの標準機能を使って、チャット同様に前置き無くコメントをそのまま文書に記載、あるいは直接編集して変更するようにすべきだ。気になるのであれば、変更された側が変更履歴で確認する。これだけで無駄な2度手間3度手間が無くせる。

 旧OA三種の神器での確かに効率化は進んだが、所詮紙で情報を取り扱っている限り限界がある。次の時代のOAのカギはペーパーレス化であり、その為にはペーパーレス決裁(&決済)、ダッシュボード(カンバン)、チャット(コメント)の新三種の神器が必ず必要になる。

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