就職活動の時期なので、圧迫面接の話がツイッターでたくさん回ってくる。
友人は圧迫面接を受けた。散々な言われようで、資格や学部をバカ、それに人格にも随分言及されたそう。
— でる夫@教皇インモケンピウス (@Schaschatter) 2017年6月16日
そして最後に
担当者「何か質問とかある?」
友人「御社による今回の面接は、今後一消費者として参考にさせていただきますがよろしいですね?」
→こわばる担当者、出る内定、蹴る友人。
就活解禁だからか圧迫面接話よく回ってくるね。面接終わるまで待たずに「こんな失礼な会社結構です。もっと他のいい会社に入るので帰ります」と帰った友人には謝罪と共に内定が出たらしい。当然他社に就職。学生の対応力を見たくてと言っても、学生もそんな無駄な時間を過ごす必要はないんだよね。
— うえ (@1nmr) 2017年6月16日
多くRTされるものはほとんど同じパターンで、内容は「屈辱的な圧迫面接を受けた後に復讐をしてスカッとする」という話。昔話やハリウッド映画に多い、人類が根本的に大好きなスタイルのストーリーだ。
ツイートへの返信を見ると
・こっちから切り上げますっていうのもアリなんですね…
・その余裕さがカッコイイ。
・こんなかっこいいこと言える人になりてえ〜
という類の書き込みが並んでいる。これだけたくさんRTされているのだし、書き込みを見て「こうなりたい」という学生も出てしまっているのだろう。
だが現実はどうだろうか。
僕も大学生の頃、たくさんの面接をしてやや大きめの会社(NTT東日本)に滑り込むことができたが、「途中退室をしても受かっていただろう」と思える面接は一度もなかった。
というか、今や面接をする側になってしまい日々人を選んでいるが、複数の候補から選ぶときに、怒って途中退室をしたり、噛み付いたりしてくる人を選べる自信がない。
そういう人を採用してしまうと、基本能力は高くても、突然怒って会社に来なくなったり、取引先に行ったときに激怒して手に負えなくなったりする未来を想像してしまうからだ。 能力はもちろん大事だが、自分と一緒に働く以上、人柄も同じくらい大切だ。
もし、同じような能力の二人から採用を選ぶ時、
・怒って途中で帰った人
・最後まで帰らなかった人
の二択になったら、僕は後者を選ぶだろう。後者の能力が怒って帰った人の80%しかなくても、時と場合により後者を選ぶかもしれない。
もちろん、僕は圧迫面接を絶対にしない(性格的にできなくて、面接ではずっとニコニコしている)ので、圧迫面接を受けたツイートの人たちと状況はだいぶ違うのだと思う。
企業規模もあるだろう。1000人の会社と20人の会社では採用方針が違うかもしれない。(小さい会社は人材を育てる余裕が無いので即戦力が欲しい、など)
時期もあると思う。僕は超氷河期と言われる時期に就活をしていたが、今はバブル期より高い求人倍率らしいので、学生が強気に出てOKなのは間違いない。
ただ確実なのは、圧迫面接は良くないものだが世界のどこかに まだ存在するということ。そして「ツイッターに何百個もの圧迫面接の話が書き込まれた時、たくさんRTされて回ってくるのはスカッとする復讐の話だけである」ということだ。
世の中には「圧迫面接を受けたので、怒って途中退席したら落ちた」という書き込みもあるだろうが、RTされない。話として全く面白く無いからだ。
ということで…
確率的に、同じような数の圧迫面接体験談が書き込まれても、目に見えるのは「読んだ人がスカッとする復讐話」ばかりになるというワナ。
今まさに就活を頑張っている学生の皆さんは、多く回ってくる復讐話だけを鵜呑みにして「途中退席すれば受かる!」と考えることなく、自らの価値観を貫いた就職活動をするのがいいのではないかと思っています。
就職活動がんばってください!