今回は、恋愛で負った心の傷について禅僧ティク・ナット・ハンの著作「愛する」を紹介しつつ書いてみるブー。
恋愛バイブルとしておすすめのティク・ナット・ハンの本
私は、両親からの虐待が原因でパニック症やうつ病になりました。その後、子供の頃伝えられなかった思いを手紙に書いて両親に伝えることで、憑き物が半分くらいが落ち、治療や瞑想などのおかげもあり徐々にメンタルが回復していきました。しかし、うつが回復する過程でもう一つの大きな心の傷に出会ったのです。
瞑想をしてると、思いもよらなかった過去の傷が顔を出す事があるんだブー。
それは、恋愛で裏切られてしまった時の傷でした。その当時、遠距離だった事もあり、ろくに話合いもできぬまま関係が途切れてしまった、という記憶があります。もうずいぶん昔の話です。
その後相手から何度かコンタクトがありましたが、また同じようになる事が怖いのと、プライドのようなものが邪魔をして応える事ができませんでした。
もし私が、当時の自分と話せたら、ティク・ナット・ハン著の「愛する」という一説にあったこの言葉を送りたいです。
あなたを傷つけた相手の顔なんか見たくないと思うでしょう。たとえその人がなぐさめに歩み寄ってきても、怒りがこみ上げてくるかもしれません。でもその傷を癒やしたいのであれば、プライドを捨て、自分を深く傷つけた愛するその人に助けを求めなくてはなりません。
(ティク・ナット・ハン,シスター・チャイ・ニェム+西田加奈子訳,Kindle版、河合出書房新社、2017年、P58より一部引用)
↓現在恋愛で苦しんだり、悩んでいる人へおすすめの一冊です。以前NHKで話題になったベトナムの禅僧、ティク・ナット・ハンの著書です。私もこの本にもっと早く出会っていたら、もっと違う行動がとれていて、今苦しむ事も無かったのかもしれません。
別れた頃は関係がダメになったのは自分のせいだと自分を責めたり、かと思えばやっぱり相手が悪いと思ったり延々と苦しみました。そしてあまりに苦しかったので、相手と完全に離れることで苦しみを乗り越えようとしました。
周りの人は「別れて正解だよ」「男性は星の数ほどいるよ」と言って慰めてくれました。親切心で言ってくれたとわかりますし、何より私もきっとそうだ、これで良かったんだと思っていました。
しかし……長い時を経て、うつ病を患い、瞑想をしていた時に、忘れていたと思っていたあの時の苦しみが、ひょっこり顔を出したのです。それからは、当時の悪夢を見たり、その時感じていた苦しみや痛みを再び感じる事が増えました。
魔王が眠りから目覚めたって感じだブー。
でも遠い過去の出来事だし、相手と今更やりとりできるわけもなく、一体どうすればこの苦しみから逃れられるのか、わからなかったよ。
長い時を経て分かった傷の影響
やがて、その心の傷は、長い間無意識に私を苦しめていたとわかってきました。蓋をした事で一時的に心の底にしまいこまれていましたが、常に付きまとう不安や恐怖の想念として、見えないところにずっと潜んでいた気がします。
そして、瞑想を取り入れ、自己を観察していく中で、この傷は私の自己肯定感を吸い取り、自信や、希望、喜びを感じる事をも制限させていた、とわかりました。
相手とはもうとっくに別れているのに、何か行動をおこす度に無意識の部分で「こんな事じゃまた嫌われるかもしれない」「こんな髪型じゃまた裏切られるかもしれない」「こんな事もできないようじゃまた……」と一挙手一投足、誰かに嫌われないよう、裏切られないよう、顔色を伺うような気持ちが習慣として染み付いていたのです。
なんていうか……、裏切られた直後の"自信のない自分"がそのまま心の奥底に鎮座して長い間その想念に踊らされていた……みたいな。
そういう無意識の影響って自分じゃ全然わからなかったりするブー……。
そんな自分に気がついた時は……"自愛"もおすすめですです。↓お時間がある方はぜひ。
もう会えない人との和解はどうすればいいのか
では私のようにもう会う機会もなかったり、話すことができない場合はどうすればいいのでしょう。ティク・ナット・ハンは、こう語ります。
たとえあなたの和解すべき相手がとても遠くにいたとしても、和解することはできます。 大切なのは、あなたの心の中で和解するということですから、ちゃんと心の中で和解できたら、それで充分です。 和解の効果は時間の経つうちに、どこにいても感じとることができるものなのです。(ティク・ナット・ハン,シスター・チャイ・ニェム+西田加奈子訳,Kindle版、河合出書房新社、2017年、P69より一部引用)
私は、この一節を読んで相手に出す予定のない手紙を書いてみることにしました。当時言えなかったことや今思う事を書いた短い手紙です。iPadのメモ帳に数行書いただけでしたが、少しだけ気持ちが楽になり、またいつか、どこかで平和的に話せる事もあるかもしれないと初めて思えました。
まだ少し苦しい気持ちは残っていますが、いつかこの苦しみから完全に自由になれる日が来ると信じています。
よく引き寄せの法則などで語られる苦しみを手放すセドナメソッドの創設者、レスターレヴィンソン博士も、セドナメソッドを発見し、苦しみを手放している最中、20年以上も前の恋人との辛い記憶がお腹の底に甦り、その苦しみは知らず知らずのうちに体を蝕み、大きな病に繋がった事が分かったそうです。
↓その後レスター博士は過去の傷ついた恋愛の体験を観察し、苦しみを手放し続け、ただ愛だけが残る境地に達したそうです。(レスター博士の手放し方はこの本で学べます。)瞑想をシンプルにしたような方法で、合う方にはとても合うと思います。
※この本にはレスター博士の生涯などは書かれていません。レスター博士がセドナメソッドを発見する経緯などは、"レスター博士の物語"と検索すれば出てきます。
私も現在は瞑想などをして過去の傷を観察しています。観察しているとその苦しみがなくなることもあったり、かと思えばまた現れたりする段階ですが、だんだん小さくなっているような気がします。
私はこの経験から、人間関係の遺恨は相手と納得できるまで向き合わなければ心の澱として残り続ける……という事を思い知らされました。恋愛は特にそうかもしれません。
これを言ったら相手に嫌われるかも知れない、傷つくかも知れない、もう大人なんだからこんな事言うのやめよう………とは考えずに、相手と話す機会があるうちに、どんな結末になろうと、正直な思いを平和的に伝え、出来れば和解する方が(復縁するかどうかは別として)、後に私のような苦しみを得ずに済みそうです。
考えてみたら、ずーっと漬物石みたいにその傷があった気がするよ。
過去に全く遺恨を残さない……って、中々難しいけど健やかに生きるコツかもしれないブー。