總持寺–亀に乗った千手観音!
今日は,大阪府茨木市にある總持寺(そうじじ)について説明します。(なお,横浜に曹洞宗の大本山として同じ名前のお寺がありますが,無関係です。)
總持寺は駅の名前でしか聞いたことがないっすね,実際にお寺があんの?という方も多いかもしれません。実際にお寺があります。
しかもこのお寺は,亀に乗った千手観音菩薩を本尊とするようなとてもユニークなところ。今日は,そんな總持寺についてわかりやすく説明してゆきます。
1 歴史
このお寺の本尊は,上にも書いた通り亀に乗った千手観音。
なぜ亀に乗っているのか,それについては次のような物語が伝わっています。
ただ,普通に物語を説明しても退屈でしょうから,所々ツッコミどころで私が突っ込んでいきます。
始まり始まり。
物語の主人公は,藤原山蔭(やまかげ)という貴族(実在)と,そのお父さん。
・・・いきなり誰だよ・・・
ある時,この山蔭のお父さんが船で淀川を渡っていると,対岸で亀を捕まえようとしている男を発見します。
この様子を見たお父さんは,亀が可哀想であるからといって,その男にお金を払って亀を買いとり,亀を川に逃がしてやりました。
さて,その翌日,お父さんが連れていた子供の山蔭が淀川に落ちてしまいます。お父さんは,どうすれば良いかわからず,ひたすら観音さまに祈りを捧げていました。
・・・てか助けにいった方が良いのでは・・・
すると,なんと昨日助けた亀が背中に山蔭を乗せて水中から出てきたのです。山蔭は,亀に助けられたのです。
・・・浦島太郎にそっくりだな・・・
さて,この亀の恩返しに感動したお父さんは,これが観音さまの力であると確信し,お礼に観音さまの像を作ることを決意。
しかしお父さんは,志半ばで亡くなってしまいます。
遺志をついだ山蔭は,観音さまの像を彫ってくれる良い仏師を探しましたが,なかなか見つかりません。
困った山蔭ですが,ある時,彼の夢に,またもや観音さまが登場します。観音さまは夢の中で「奈良の長谷寺(今でも立派なお寺があります。)に行きなさい。そこで最初に出会った人物が,そなたの求める良い仏師である」というお告げをします。
そこで山蔭は,早速長谷寺に行きますが,彼が最初に出会ったのは小さい子供。こんな小さい子であっているのか不安に思いましたが,お告げの通りこの子供に「仏像を作ってください」と頼みます。
すると子供は「わかりました。ただ,私が工房で仏像を作る1000日の間,決して工房を覗いてはいけません」と言って,仏像を作ることを承認。
・・・鶴の恩返し的展開だな・・・
さて,1000日が経った(・・・いや工房覗けよ・・・)後のある日,工房の中から話し声が聞こえます。何かと思って山蔭が扉を開けてみると,中にいたのは,なんと亀に乗った千手観音。
そう。あの子供は,千手観音の化身だったのです。
・・・やっぱ鶴の恩返しそっくりだな・・・
そしてこの像を本尊として9世紀に創建されたのが,ここ總持寺です。
めでたしめでたし。
※補足
ちょっと長くなりました。ツッコミでも言いましたが,浦島太郎と鶴の恩返しが混ざったような話ですね・・・。なぜかはわかりませんが,妙に似ているのがとても面白いです。
2 總持寺の見所
總持寺の見所は,なんと言ってもその本尊の千手観音です。
このお寺の創建からずっと変わらずの本尊で,1100年以上前のものです。
実際に亀に乗った姿をしているので,とても特徴的です。私は他にこのように亀に乗った千手観音を見たことがありません。
ただし,この本尊は基本的に秘仏(普段は見ることができずケースの扉が閉じられている仏像)で,毎年4月15日から21日までのみ見ることができます。それ以外の期間は,この本尊を真似して作ったお前立(おまえだち。本尊が納められているケースの扉の前に置かれていつでも見ることができる仏像)を見ることととなります。
3 (失礼ながらの)おすすめ度
☆☆☆★★(星2/5)
4 最後に
ということで,今日は總持寺について説明しました。
ちなみにここ總持寺は「西国三十三所」の一つにも指定されている由緒正しいお寺です。
駅からも近いので,ぜひ行ってみてください。
それでは。