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僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

見たもの読んだものなどの簡単な記録と感想のチラシ裏系ブログ

クレイヴン・ザ・ハンター

原題:KRAVEN THE HUNTER
監督:J・C・チャンダー
脚本:アート・マーカム、マット・ホロウェイ、リチャード・ウェンク
原作:MARVEL COMICS
アメリカ映画 2024年
☆☆☆☆★

www.youtube.com


SSU(ソニースパイダーマンユニバース)最新作。
・・・にして、多分最終作。評価・興行成績共に振るわず、今後の展開の見直しで一度ここまでで打ち切るとかいう話になってる様子。一応の稼ぎ頭だった「ヴェノム」が3部作完結で締めちゃったからね。

 

今回の「クレイヴン」も公開前はシリーズ最低評価みたいに言われてました。おいおい、あの「マダム・ウェブ」より下なのかこれ?とかちょっとビックリしましたが・・・、まあ世間やマスコミの評価なんて気にする必要は無い。自分で見て自分の頭で考えて自分の評価軸を持つっていうのが一番大事です。実際は間違い無くSSUで一番の傑作。一番まともな映画だったんじゃないでしょうか?これで終わっちゃうの正直勿体無いなと思いました。

 

SSUって、基本的に作りがゼロ年代アメコミヒーロー映画から進歩してなくて、コミックの世界をCGやVFXで表現するだけでそれが売りになると思ってる節がありました。それをMCUやDCみたいに映画ユニバースにすれば続き物として毎回観に来てくれるんでしょ?みたいな作りだった。

 

でも今回、ちゃんと映画してて面白かった。基本的に作り方はそんなに変わってはいないんだけど、アクションの個性や見せ方が上手かったし、悪い部分としてはキャラがやっぱりオリジンや能力的な部分で凄くありふれた漫画チックでそこは古臭いなと思ったけど、いやだってそこは漫画映画なんだから仕方ないとこではある。漫画っぽい要素をもっともっと排除して、徹底的にリアル路線でとかになってしまうと、漫画原作である意味がなくなっていっちゃいますしね(上手くやれば更に上に行けるけど流石に難しい)

 

一応のヴィランキャラとしてのライノとフォーリナーはぶっちゃけキャラは薄かったけど、これが2作目なら問題あるけど、クレイブン・ザハンターの無双っぷりを重視した噛ませになるのは1作目の判断としては悪くないと思う。いやどうせなら対決が盛り上がるインパクトのある悪役が出ればそれは勿論良かったんだけれども。

 

個人的に良かったのはストーリーやテーマ。タイトル通り、「ハンター」であり、「プレデター」なんかとも通じる「捕食者」とは誰か、強さとは何なのか?みたいな所を描いてあるのが面白い。

 

貫禄あるラッセル・クロウ演じるクレイブンパパ(ニコライ・クラヴィノフ)いやラッセル・クロウさん、MCUではゼウスだし、DCではジョー・エルだったり面白いな。それ言ったらクレイブンもMCU版クイックシルバーでありキックアスだったりするのがまた楽しいとこです。

 

それはともかく「強さ」を誇示する存在で、マッチョイズム(マチズモ)の体現者。グラディエイターとかではないないけれど、裏社会のトップで資産家。それでいて百獣の王ライオンをも狩るレジェンドハンター

精神を病んだ奥さんを心が弱いと吐き捨て、子供が拉致されて身代金を要求されても、金など出せるがそれは精神的にも敗北を意味するからそんなものを出す気は無い。厳格な父親、家父長制であり、男性性の象徴。

 

先日、「グラップラー刃牙」の関連本を読んでて、私は昔プロレス・格闘技ファンだったし、バトル漫画とかも大好きでしたが、なんか今の感覚だと、最強を求める男の性みたいなの、バカみたいだなって思うようになっちゃってる自分が居ました。

フェミニズム思想の強い「プリキュア」のオタクやってるとかもあるのでしょう。強さや力のあるものだけが正しいみたいな世界観は、なんだか嫌だなと思う。

ただ「ダイの大冒険」のアバン先生じゃないけれど、力無き正義もまた無力、というのはある意味正しい。言葉や感情、気持ちだけではどうにもならない部分もあるし、自分の理想を体現できなければという所はやっぱりある。

 

今回のクレイブンもそうですよね。闇の仕置き人みたいなダークヒーローポジションですが、力が無ければ出来ない事だし、当人は正義の為や愛する弟や命の恩人の為にその力を行使しようとする。

でもそこはやっぱり「力」と「暴力の行使」は何が違うのか?というテーマも孕む事をちゃんと意図して描いてあるのが凄く良かった。

 

そしてその「歪み」が最後のオチに繋がるというのも秀逸。
今の時代の「力」はストレートなパワーや権力では無く、人を偽り、狡猾で歪んだ力こそが現代の「力」でしょ?っていうとこが非常に面白いオチでした。わかりやすいオラオラ系のヤンキーより、ネットに潜む歪んだサイコパスの方が今の時代こえーよ、みたいな。

 

旧体制の家族像の崩壊と、ブラザーフッドシスターフッドを描きそうで描き切れていなかった「モービウス」と「マダム・ウェブ」。今回、母親違いではありましたが正式な兄弟だったりもしたけど、兄弟の描き方が凄く良いなと思ったし、そうそうSSUに足りないのはこういうとこなんだよ、これがちゃんと描けてればちゃんと面白くなる!って言える出来で、非常に満足感は高かったです。

 

欲を言えばカメレオンとライノの間に力を持たず虐げられた者同士の共通性みたいなのがもしあったら完璧だったかも?

 

いやもしこのクレイブンとスパイダーマンが戦ったら相当面白くなるのでは?と思わせてくれるだけにここで終了になったら残念。
アメスパ2でも最後にメカライノ出てたので厳しいかもしれないけど、アンドリュー君版スパイダーマンでも良いし、何だったらトビー・マグワイア版でも良いのよ?そっちの続きでも良いから作って欲しいぞ。クレイブン、この1本で終わらせるには勿体無いキャラでした。

 


いやしかし、2024年は調整の為MCU映画は「デッドプールウルヴァリン」の1本のみという事でしたが、一応はMCU枠ながら実質20世紀FOX映画の最終回でしたし、その中でSSUが一気に3本公開という驚きの流れ。DCもユニバース最終作の「アクアマン2」に期待外れだった「ジョーカー2」とアメコミ映画不調の中、私的には「クレイヴン」がトップです。本国じゃ「ヘルボーイ」も今月公開とかでしたっけ?

作品的にも不調なのと、流石にもう飽きたのもあるのでしょう、世間的にはもう完全にブームは終わってしまった感はありますが、私はブームとか関係無く30年もアメコミ追ってるわけですから、当然そんな簡単に離れる事も無く今後も追っていきますよ。

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