はじめに
この記事はBASE Advent Calendar 2022の15日目の記事です。
こんにちは!船坂( @takumi_funasaka )です。BASEでプロダクトマネージャーをやっています。
先日、所属しているプロジェクトチームで「チームの能力を自己評価し、チームとしての今後の成長方針を決める」ワークショップをやってみました。 これが結構良かったので、ご紹介させてください。
ざっと目を通していただくと、チームの課題を抽出したり、いいチームのどこがいいのかを知るためのヒントになるかもしれません。
チームがいい感じ、な気がする
最近、自分が所属しているプロジェクトチームがとてもいい感じだなぁと思っています。 やるぞ!感もあるし、アウトプットも良い。苦難や衝突もたくさんありますが、それを踏まえても、良いチームになってきていると感じていました。
ただ、チームの何がいい感じなのか、よく分からないのです。
現在、BASEではプロダクト領域ごとに組織をわけており、僕たちのチームもプロジェクトが終わったらすぐ解散ではなく、しばらく続いていく予定となっています。
そのため、現状の理解のままではなく、チームがいいと感じる要因を明らかにし、同時に課題も認識することで、中長期的なチームの成長方針をたてたいと考えました。
チームについて考える
まずは、チームについて疑問があったので、調べながら自分の一旦の考えをまとめてみました。
「チームってなんなんだろうか。人の集まり?」 → チームとは、ただ人が集まっただけではなく、目的を達成するために密に協働する人の集まりである
「じゃあいいチームってどういうチームだろう?」 → いいチームとは、チームの存在理由である「成果」を上げることができ、そして評価されるようなチームである
「いいチームかどうかを知るには、どうしたらいいんだろう?」 → いいチームにはいいチームワークが存在している。チームワーク能力を測ることがチームの機能性を知ることに繋がる。
このあたりの前提に立つために、いくつか研究を参考にさせていただきました。(後述)
チームワークを評価するワークショップを実施してみた
さて、ようやく本題ですが、自分たちがどういうチームなのかを明らかにするため、チームワークの機能性を評価するワークショップを設計してみました。
ワークショップの流れ
ワークショップはチームのメンバー全員で行いました。 僕たちの場合は、
- プロダクトマネージャー×1
- デザイナー ×1
- エンジニア ×5
- QA ×1
の計8人で実施しています。
ワークショップの流れは以下になります。
- チームワークについてみんなで学ぶ
- 事前に用意したチームワークの要素※1ごとに、その要素に関連する具体的な行動やコミュニケーション、できていないことなどをPositive / Negativeで振り分けて書き出す
- 全てのチームワーク要素について書き出し、全員で読む
- 各要素について、今の自分達のチームは何点になるか、1〜5点で投票する
- 意見が割れたところに関して、メンバー同士で意見交換をする
- 議論後、チームとしてのスコアを決定
- チームとして不足している能力や今後獲得していきたい能力について、話し合う
※① チームワークの要素として、こちらの論文(山口裕幸(2007)、チーム・コンピテンシーと個人のチームワーク能力)に記載されていたもの利用させていただきました。
結果:チームの今を知る
やってみた結果、僕たちのチームのスコアは下記のようになりました。(各5点満点。各要素の詳細な解説は省きますが、後述する資料を是非ご覧になっていただければと思います。)
- チーム指向性
- 職務指向性 4
- 対人指向性 5
- チーム・リーダーシップ
- 適切な指示 3
- 対人的配慮 3.5
- チームプロセス
- モニタリングと相互調整 4
- 職務の分割と明確化 3
- フィードバック 4
- 知識と情報の共有 3
このようにスコアを定量化・可視化したことで、チームについて俯瞰することが容易になり、メンバー同士の議論もしやすくなったと感じました。 メンバーの肌感ともほぼ一致した数値感になり、非常に参考になりました。
ディスカッション:チームについて話し合う
このスコアを元に、更にチームで感想や今後チームとして獲得していきたい能力について、ディスカッションを行いました。
結果を見ながら、僕たちのチームは今後の方針として
- チーム・リーダーシップに課題があるので、今後注力して伸ばしていく
- チーム指向性が高いことを今後も大事にしていく
- チームプロセスもまだ改善途上であり、継続的に向上させていく
ということをメンバーで合意できました。 これはとても大きな意味があったと感じています。
ワークショップの感想
実感としては非常によい機会になったなと思っています。 個人的に感じたことや、メンバーからあがっていた感想・意見を紹介します。
- チーム指向性が比較的高いのはとても良いと感じていて、自信になった。普段から目的の意識付けやそこにコミットする姿勢を全員で共有できていることを再実感できた。
- リーダーシップを取るということに対して、メンバーが課題に感じていることが明らかになった。現状は満点でなくても、全員で伸ばしていくという意識付けができたことはとても良かったと思っており、これが今回のワークショップの一番の成果だと感じている。
- チームワークというチームを主語にした能力をトピックとして取り扱ったので、個人の能力に言及することなく、課題について議論できた。心理的安全性を保ちながら、オープンに今後について話せた実感がある。
- 「適切な指示」について考える中で、タスクを全部自分で巻きとろうとしてしまう癖に気づいた。これからは適切にメンバーを頼り、チームとしてもっと効率的・持続的にタスクをこなしていけるようにしたいと思った
- 特定のメンバーがチームワークという点で大きな役割を果たしているということが明示的になったのが良かった。課題ではあるが、認識できたので、他のメンバーも今後意識的に経験を積みながらチームを改善していけると思う。
- チーム力は悪くはないことがわかったが、個人でみると偏りがあることも明らかになった。これからは偏りを分散させることを意識しながら、チームのいいところを高めていきたい。
ワークショップ後のFigjam(雰囲気だけ)
最後に
今回はふわっとした「チームがなんかいい感じ」の要因を明らかにするために、チームワークの機能性を知るワークショップを実施してみました。 チームワークの機能性をスコアとしてプロットしたことは、メンバー全員で今を見つめ、今後進むべき方向性のすり合わせをすることを容易にした感覚があり、重要なキーだったと思っています。
また、実は僕たちのチームは来年から少し構成が変わる予定があったため、状況が変わってもパフォーマンスを出し続けていくために、やるべきことを考えたいという目的もありました。 これは、ワークショップのstep2において具体的なコミュニケーションをベースに書き出す設計にしていたことで、チーム構成の変動後、どのようにチームワークが変わりうるかを予想することもでき、良かったと思っています。
さて、明日は @gimupop の記事が公開予定です!お楽しみに!
Appendix: 参考にした情報と、学んだこと
おまけとして、今回このワークショップを設計するにあたって調べた情報と、学んだことを書いておこうと思います。
学んだこと:
- "チーム: メンバーは相互に強く依存しながら、特定のプロジェクトを遂行するために、作業内容を計画し、問題を解決し、意思決定を下し、進捗状況を確認します。チームのメンバーは、作業を行うために互いを必要とします。"
- 効果的なチームに必要な要素は5つ
- 心理的安全性
- 相互信頼
- 構造と明確さ
- 仕事の意味
- インパクト
- チームの効果性には「誰がチームのメンバーであるか」よりも「チームがどのように協力しているか」のほうが重要である
学んだこと:
- チームの成果を左右するコミュニケーションの要素は
- コミュニケーションの「熱量」
- チーム全体への「関与」
- 外の世界へと向かう「探索」
- チームメンバー同士が長い期間固定されていると、パフォーマンスが向上する
- しかし、同質化が進み、新たな学習を妨げることがある
- チームに『異端者』がいると、議論が活発化し、パフォーマンスが向上する
- 他にも色々学べました
山口裕幸(2007)、チーム・コンピテンシーと個人のチームワーク能力
学んだこと:
- チームワークの要素とモデル(ワークショップで利用)
- チームワークの測定項目群(ワークショップで利用)
- チームワークは個人のチームワーク能力にも影響を受けるが、メンバー同士の相互作用により、個々の能力を超える大きな影響を受けることが少なからずある