「プライベートジェットを買ってきてほしい」「数百億円を超える資産の管理と運用を任せたい」――。こうした超富裕層の贅沢な悩みを解決することを生業とするのが「プライベートバンカー」。税務対策や相続問題、資産運用から特別な買い物やテニスの相手まで、顧客のためなら何でもする、いわば超富裕層に特化した御用聞きだ。放送中のドラマ『プライベートバンカー』(テレビ朝日系列、毎週木曜午後9時〜)を題材に、現役のプライベートバンカー2人に「超富裕層の生態」と「プライベートバンカーの仕事」を教えてもらった。表に出ることがない超富裕層ビジネスの内幕をご案内しよう。(構成/ダイヤモンド・ライフ編集部)
プライベートバンカーA(本文A):香港・シンガポールの外資系プライベートバンカーを経験して日本で独立。現在は複数の一族を相手にするマルチファミリーオフィス型のプライベートバンカー。
プライベートバンカーB(本文B):現役の大手金融機関プライベートバンカー。超富裕層に向けのプロダクト開発に携わるなど、超富裕層の生態を熟知している。
超富裕層が飲食代で
“一晩1000万円”も使う合理的な理由
前澤友作「ところで全部でいくらした?」
庵野甲一「虎ノ門のレジデンスよりは安く済みました。100億円」
前澤友作「100億!そんなにした? いつも面倒なお願い事ばかりで申し訳ないね」
庵野甲一「いえいえ、ご用の際はいつでも何なりと」
(ドラマ『プライベートバンカー』第1話より)
A ドラマは実業家の前澤友作さんが、唐沢寿明さんが演じる主人公・庵野甲一に頼んでプライベートジェットを購入するシーンから始まりましたね。ドラマのホームページを読むと、ドラマに登場した前澤さんのプライベートジェットとロールスロイスは私物のようです(笑)。実は、私も顧客からプライベートジェットの購入を頼まれて、本当に買う寸前まで行ったことがあります。結局はコロナで諦めましたが……。
B モノで100億円以上のものはほぼないですよね…。プライベートジェットの他には、都心一等地のタワーマンションくらいでしょうか。上層階は数十億円から数百億円で販売されています。昨年、オープンした麻布台ヒルズのアマンレジデンス最上階は、価格が200億円以上という報道があり、日本一高額なマンションと話題になりました。
A そうした特別に高額な出費を除いて、一般の人が使う金額と価格差が顕著に大きいのは飲食代です。超富裕層は、一晩で1000万円も使うことは珍しくありません。「なんでそんなに使うんだ」と不思議に思われる方が多いと思いますが、彼らは資産管理会社の利益を圧縮したいんですよね。
B 確定申告の際に領収書を集めて、課税所得を小さく見せようとするのと、同じ原理ですね。
A 前澤さんもそうですが、自分で起こした会社を上場させると大株主になるので配当金が振り込まれます。その配当金を受け取るのが資産管理会社です。資産管理会社が黒字だと税金を払う必要が生じますから、赤字のほうがいい。公開企業ではないので、赤字でもまったく問題ないわけです。会社の帳簿の単位でお金を使っているので、会社員が給料の中でやりくりする飲み会とは桁が2〜3つも大きくなります。
B でも、超富裕層の人って緑茶ハイとかも飲みますよね?(笑)