
農協職員が、共済などのノルマ推進を苦にしたり、モチベーションを失ったりして離職するケースが増えている。ダイヤモンド編集部は、農協のディスクロージャー誌を基に、職員の減少率を比較したJA人材流出深刻度ランキングを作成した。特集『JAグループ崩落』の#8では、同ランキングから、人材の流出に歯止めがかからず、組織の存続が危ぶまれている農協をあぶり出す。(ダイヤモンド編集部副編集長 千本木啓文)
1年で、職員が2割も減少!
農協で、遠心力が急に強くなる理由とは?
「農業協同組合なのに、農家本位で考えているのか疑問」「(稼ぎ頭の)共済(保険)や金融の渉外担当は目標が高く過酷。不人気ポストになっていて、辞める人が多い」――農協職員の偽らざる本音である。
近年、離職者が急増していることに、さすがの農協関係者も危機感を強めているようだ。
下図は、ダイヤモンド編集部が農協役職員アンケートで、農協の実態について聞いたものだ。
モチベーション低下や人材流出、採用難などが、組織の持続可能性に関わるレベルまで深刻化していることがうかがえる。
次ページでは、農協のディスクロージャー誌を基に、職員の減少率を比較したJA人材流出深刻度ランキングを大公開。離職が急増している理由を農協ごとに分析する。
また、農協が人材確保のために実施した人事施策(中途採用、初任給アップ、ベア、脱年功序列、ジョブ型人事制度の導入など)や、今後実施する人事制度改革についてヒアリングした結果を掲載する。果たして、農協は人材流出による負のスパイラルから脱することができるのか。