ザインソフトとは、1980年代~90年代前半にかけて兵庫県高砂市を拠点に、独特のセンスが炸裂した印象に残るパソコンゲームを世に送り出し続けたゲーム会社である。
概要
神戸市出身で一浪して入学した関西大学で法律を専攻していた宮本隆博が、大学に5年通った結果ありきたりな就職に嫌気がさし、お金持ちの悪友がもっていたFM-8に触れてパソコンをかっこいいものと勘違いして購入してのめり込んだ結果、自分の可能性を試そうと高校時代の同級生や幼馴染らに頼み込んで資金を集め、大学で培った法律知識を駆使して銀行向けの資料を作成して融資を得て、1984年に設立したのがザインソフトのはじまりとされている。
元は喫茶店だったビルを買い取って自社ビルにすると、宮本が泊まり込みでパソコンと格闘する日々を続ける中、続々とザインソフトらしいゲームを作り上げる開発者達が集まり、ザインソフトが形成されていった。後に日本テレネットでも活躍し、「歩くMSX開発室」の異名で呼ばれていたプログラマ楫泰行は19歳で開発チーフを務めた。
後述のザイン語などの独特な言い回しやゲームストーリー、他社のゲームのいいとこどりした上でザインらしさを加えるゲームデザインから、話題には上がらないものの知ってる人は知っているカルト的人気を博していた。どれくらい話題にならなかったかというと「トリトーン」が処女作だと思われていたぐらいに。
FM-8からX68000までパソコンゲームを手広く手掛けていたが、無茶な経営方針から実力派スタッフの離脱が相次ぎ、迷走の結果現在では会社としては存続していないようで、株式会社クリエイティブ・ブレインがザインソフトのゲーム版権を引き継ぎ、何作品かがPicoPico、プロジェクトEGGで配信されている。
ポストを読み込み中です
https://twitter.com/Baruusa_x68k/status/1656130068098473984
同社の主な特徴としては以下の通り。
- 時期によって「Sein soft」だったり「Xain soft」だったり「Zain soft」だったり社名の英語表記がコロコロ変わる。また日本語の社名も「ザインソフト」「ザイン・ソフト」と統一されていない。
- 良くも悪くも他作品の要素をいいとこ取りした作品が多いが、ザインソフトらしいアクの強いアレンジが施される。
- 後期の作品「神戸恋愛物語」や「タッグオブウォー」など、ある意味で独創的な作品もある。
- お世辞にもゲームバランスが良くない作品が多く、そしてバグが多い。
- 文章として読むとどこかおかしい、誤字脱字が目立つテキストが日本語でも英語でも目立つ。一部では「ザイン文学」と呼ばれている。
- ザインソフト定番の誤字脱字ギャグ「ひつこい」
- 「トリトーンファイナル」でゲームオーバーになった時に表示される「YOUR ARE DEAD」
- 「未来」のストーリー
宇宙世紀Seven-Two-O 地球における人類の生命は断たれ、宇宙への移住を余儀なくされていた。次の移住予定地として、REINBOW星雲に、その運命が託されたが、REINBOW星雲は、全く異なった環境の6つの惑星と、それを統治する1つの惑星よりなりたっており、完全に我々を敵視している。時の流れと共に疾走した謎のソルジャー、彼が5つのきらめきをもつアーマードスーツを見た時、その運命は変わった……
- 「DIOS」のストーリー
西暦2231年開拓惑星DIOSにて謎の生命体が人々を虐殺し始めた。その後派遣された国連監視宇宙軍が瞬く間に壊滅し、惑星の秩序回復の7人の有志が名乗りを挙げた
- 妙に味のあるBGMが特徴的。作曲は宮本隆博の高校の同級生の女性で専務取締役の林さんが手掛けており、のちに宮本隆博と結婚したらしい。
主なタイトル
PC-8800/PC-9800シリーズやMSX、X1等で主に発売。ファミコンでも「トリトーン・ブラッディ」というRPGが発売予定だった。
◆はPicoPicoで配信されているソフト、★はプロジェクトEGGで配信されているソフト(共に配信元はクリエイティブ・ブレイン)。