ヤンガンティタン(ヤンガンイタン)とは、5本のろうそくを5本の指に持って手を光らせている悪魔である。
概要
Yan-gant-y-tan, espèce de démon qui circule la nuit dans le Finistère. Il porte cinq chandelles sur ses cinq doigts, et les tourne avec la rapidité d'un dévidoir. Sa rencontre est d'un mauvais augure pour les Bretons.
ヤンガンティタン、フィニステールの夜に出回る悪魔の一種。彼は5本の指に5本のろうそくを持ち、糸繰り車のような速さで回転させる。彼との出会いはブルトン人にとって不吉な前兆だ。
コラン・ド・プランシーが1818年に著した『地獄の辞典』に上記のように記載されている、あまりメジャーではない悪魔の名前。ハイフンによる区切りからすると「ヤンガンイタン」が正確な発音である可能性もある。
フランスのフィニステールに伝わる悪魔。フィニステールは地域名で、フランスの北西部から西側に突出しているブルターニュ半島の先にある。引用文中にあるブルトン人というのは、この地域に暮らすケルト系民族のこと。
手に持っている5本のろうそくで旅人を迷わせるとする言い伝えがあり、不吉の前兆とされているようだ。ジャック・オ・ランタンの元にもなった鬼火伝承の「ウィル・オ・ウィスプ」との関連も指摘されている。
ちなみに明かりを持っていない人にろうそくを与えるとする話もあるらしいが、英語版のWikipediaではこの部分の記述は要出典とされている。
1863年の第6版からルイ・ル・ブルトンによって挿絵が追加されている。角と尻尾が生えた裸の姿で右手を光らせ、笑顔の表情で描かれている。その独特な風貌が150年ほど経った2024年11月に日本のSNS上で注目された。