主語とは、行動や状態の主体となる対象を表す文法の要素である。
転じて、行為者や主体となる集団を差す言葉となる。→主語の大きい人
概要
主語とは文章における主に動作、状態の主体に相当する文章の要素である。「誰がどうした」「何がどうだ」の「誰が」「何が」に相当する。日本語では単語で区切らず文節で区切って分析する手法が一般的であるので、「誰がどうした」という文章の主語は「誰」ではなく「誰が」となる。
何が主語であるかを見分ける目安は、格助詞「が」、副助詞「は」でマークされている単語を見つけることである。
インド・ヨーロッパ語族でいえば、屈折のうち人称に関わるものである。何が主語かは言語ごとに特徴となる変化や助詞、語順などで推測できる。
他言語における主語
言語ごとにS(主語)V(述語)O(目的語)の順番で特徴付けることが多い。日本語の標準的な語順はSOV、英語含む多くのヨーロッパ諸語はSVOとなる。
現代英語ならば語順が決まっており、主語→動詞→形容詞や目的語、となる。英語においては主語が無い文章は命令形を除いて基本的に無く、「It rains.」のように行為の主体が何も無くとも形式主語itを補う必要があるくらいである。
英語以外の欧米諸語では人称変化が強く残っていることが多いため、必ずしも主語を人称代名詞を使って明言する必要はないことも多い。
中国語では人称による屈折などはなく、語順や意味で主語を推測する。
日本語における主語の小話
例えば、ウナギを注文したいときに「僕はウナギ」と表現することが日本語ではよくある。主語は「僕は」であるが、「僕」はウナギではない。もちろん比喩でもない。にもかかわらず自然な文章として認識される。似たような文に「こんにゃくは太らない」「春はあけぼの」などがある。
英語においてもごくごく希に「I'm the eel.」などと言うこともあるそうだが、不正な文であり非常に幼稚に聞こえるという。詳しくは「うなぎ文」の記事を参照。
主語を見分ける目安は「は」「が」であるが、同じ文に両方が含まれることがよくある。小学校ではこれを「象は」が主語、「鼻が長い」が述語であると教える。完成した文章がそのまま入れ子状に述語になるという考えである。
「野菜は体にいい」「好奇心は猫を殺す」などと同じ構造をしていると考えることができるが、区別が恣意的になりがちである。
- 主語を特定できない文章が散見される
全ての文に必ず「は」「が」でマークされる単語があるわけではない。多くの場合は省略された主語を想像して補うことができるが、それも難しいことがある。「黒板に今日は休みと書いてあった。」という文の行為の主体とは何であろうか。