概要
輩とは、同類、仲間、連中、者ども、親類、一族という意味の言葉であり、共通の性質、側面を持つ者の集まりを表す時に用いられる。
通常、「先輩(せんぱい)」、「彼奴輩(きゃつばら)」「奴輩(どはい)」などのように、「どのような」輩なのかを示す語と結びついて名詞となる場合と、「不逞の輩(ふていのやから)」「○○のような輩(やから)」のように連体修飾語を伴って用いられる場合がある。
基本的には複数の人間を表すが、その言葉に当てはまる者のうちの一人に対して使っても問題ない場合もある。例えば「先輩」という言葉にはある人にとっての上級生がすべて当てはまるが、そのうちの一人である人間に対して「彼は私の先輩です」と言うのは誤りではない。また「我が輩(吾輩)」のようにその意味から当然に一人を指す場合もある。
そのため、「先輩たち」のように明確に複数人を表す接尾語「たち」を付加した使い方も可能である。
誤用について
「やから」と読ませる用法ではとかく悪い意味で使われる場合が多いが、本来この言葉自体には単体で「悪い人間」の意味はなく、「あいつは輩だから」「俺は輩じゃない」とするのは基本的には誤りである。これは「あいつは人達だから」「俺は人達じゃない」と言うようなものである。
別の言葉で例えるなら、「この苗は寒さに強い品種です」と言うべきところを「この苗は品種です」と言うのに似ている。
関西圏の一部では、あえて「輩」単体で、やくざやチンピラのような、風体や素行の良くない連中を指し示す言葉として俗語的に用いられることがあり、近年ではネット上の書き込みや漫画のセリフなどでもこの用法が散見される。
これはあくまで俗語としての表現、あるいは方言のようなものであって、本来の用法ではない事に留意しておく必要がある。
漢字として
- 意味
- 一族の者、ともがら、ものども、連中、連ねる、一団、グループ、等級、車百両、並び比べる、車を並び連ねる、年次が同じもの、世代、という意味がある。
- 〔説文解字・巻十四〕に「軍、車を發するが若し。百兩を一輩と爲すなり」とある。
- 字形
- 形声で声符は非。輫と構成要素が同じだが別の字。
- 音訓
- 音読みは、ハイ(漢音、呉音)、訓読みは、やから、ともがら。
- 規格・区分
- 常用漢字である。JIS X 0213第一水準。1946年に当用漢字に採用され、1981年に常用漢字になった。
- 語彙
- 輩行・輩出・輩流