和解とは、仲直りすることである。
本記事では2について取り上げる
人が生きていく上で争いを避けることは、なかなか難しいものである。
ときには話し合いがこじれて訴訟にまで発展する事もあるが、その時にでてくるのが「和解」というシステムである。
読者の中には裁判となったら、必ず判決という形で決着をつけると思っている人も多いかもしれないが、民事訴訟においては判決と同程度に用いられることの多い解決方法である。
これは判決には、白黒をはっきりさせ、強制的に事を収めさせる力(既判力)がある一方で、非常に時間がかかる為、原告・被告双方の精神的・金銭的負担が重く、またどちらかが勝訴して損害賠償などを受け取れたとしても、相手方が出し渋ったりした場合は強制執行という非常に面倒な手続きをふまなければ回収できないというデメリットがある為である。
また、周知の通り我が国は三審制がとられている為、判決が出ても新たな証拠や、事情の変化で地裁では勝訴できても、高裁や最高裁で逆転敗訴する可能性もまた孕んでいるデメリットもある。
一方で和解は、裁判における公判を経て、お互いの主張や立証を踏まえた上で、紛争を譲り合い(互譲)によって解決することを目的とした手続きである。双方が納得づくで行われる為、金銭が発生する場合は比較的スムーズに行われる上に、判決に比べて負担も軽く済むというメリットがあるのだ。
しかし、互譲ということは、相手方に非を認めさせる一方でこちらも何がしかの譲歩をする必要があるため、当初思ったほどの効果が達成できないというデメリットもある。
法学においては和解には、主に裁判上の和解と、私法上の和解の二種類があり、それぞれ別個に解説する。また、いずれの和解においても、法律について素人である一般人が全て行うことは困難の為、トラブル防止の為に弁護士や司法書士といった専門家に仲介してもらうことが肝要である。
裁判上の和解はだいたい概要で説明したとおりである。
判決には終局的な解決を図れるというメリットが有る一方で、デメリットも多くあるため、民事訴訟が開かれ、公判が進むうちに担当する裁判官が和解を勧める傾向にある。裁判官だって忙しいからねしょうがないね。また、訴えを提起する前に、裁判官の立会いの下で和解する場合もこれに入る(即決和解)。
和解に当事者双方が同意した場合、条件を詰めた上で、裁判所書記官によって和解調書が作成され、それに当事者が納得して調書に署名捺印をすると和解が成立する。当然、条件で合意がなされない場合は訴訟が継続する。この場合、法律で義務付けられているわけではないが、より確実性と証明する力を持たせるために公正証書が用いられることが多い。
この和解には判決(確定判決)と同等の効果があると定められている(民事訴訟法267条)ため、条件に違反すれば民事執行法に基づく強制的な手続きがとられたり、場合によっては条件違反を理由に再度訴訟を起こされる事がある。
第695条
和解は、当事者が互いに譲歩をしてその間に存する争いをやめることを約することによって、その効力を生ずる。
裁判上の和解だけではなく、訴訟に至らなくても和解することは可能である。よく交通事故や犯罪が発生した場合に示談という言葉がでてくるが、まさにそれが典型である。いわば、示談を法律上の言い方に直すと和解になるといっていいだろう。
裁判上の和解と同じく、互いに譲歩という言葉が出てくるため、被害者が何がしかの譲歩を迫られるのではないかという懸念を持つ人もいるだろう。しかし、この場合の譲歩とはさほど重い意味ではなく、示談金(慰謝料)を加害者が支払う代わりに、被害者は告訴をしないという意味合いである。刑事事件の場合、被害者の告訴を要件とする親告罪に該当する(名誉毀損・著作権法違反など)時は、条件が履行された段階で検察官は起訴できなくなる。
また、非親告罪の場合であっても、起訴猶予や執行猶予判決を貰うための重要なプロセスとして認識されることが多い。
当然、刑事だけではなく、民事においても、土地の境界争いや金銭トラブルが発生した場合、訴訟の前で話し合いがついた場合は、後で言った言わないの揉め事を防ぐために、この和解がとられることがある。
民法上では、法律上に定められた売買契約や雇用契約と同じ典型契約の一つと考えられ、法務上もそれらと同じような扱いで処理していく。
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最終更新:2025/01/11(土) 10:00
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