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民法 単語

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  1. 民事法についての学問上・一般的語義→当項解説
  2. 日本国において1898年に施行された法典→民法(日本)

民法とは、私人間の関係を規定する私法において基本となる法律である。この記事では原則として日本の現行民法典をベース解説する。日本の現行民法固有の事については「日本の民法」を参照。

概要

人が集まって社会を形成すると、他人に対して権利を持ったり義務を負ったりするが、その権利や義務の内容について一定のルールがないと秩序が維持できなくなる。このような一定のルールを定めたのが民法である。民法は私人、つまり権力を持たない人同士の関係を規定した私法の中で最も基本となる法律である。この意味で民法は私法の一般法であるという。

日本国憲法刑法とともに、日本要な法律である六法の一つである。

民法は1044条まであり、日本法律の中では最も条文数が多い。
削除されたり逆に枝番をつけて追加された条文もある。例えば、第32条の次は「第32条の2」であり、第38条から第84条までは削除されている。

日常生活の基本的なルールを定めた法律であるので、司法試験公務員試験など多くの資格試験で出題されるが、その分量の多さから学習に非常に時間がかかる。そのため、よく「民法を制するものは◯◯を制す」(◯◯は資格試験名前)と言われたりしている。もっとも、世界的にみれば日本の民法の条文数は少なく、条文数が少ないことで有名なオーストリア民法典ですら1502条もある。

日本の現行民法はドイツ民法(正確にはその案)を参考にしており、また、その解釈においてもドイツ民法学のが強い。ただし、フランス民法(いわゆるナポレオン法典)の摘するもある。なお、現行民法が制定される数年前に制定された旧民法は、フランス人法学者ボアソナードの案がもとになっており、フランス民法のが強く、男女同権的、同時にフランスが王政を打倒し市民が権利を得た為、天皇制を肯定するような内容ではかったこともあり、そのことに関して当時の民法学者からの批判も集まったため、ドイツ民法をベースにした民法の制定がなされた。

このような経緯もあり、現代ではドイツ民法をベースにした民法を日本では用いられているが、情勢の変化により、法解釈の点ではフランス法的解釈の方が重要ではないかとの意見も出てきている。

基本原則

民法の基本原則は権利等の原則、私的自治の原則、所有権絶対の原則の3つである。これらを近代私法の三大原則ということもある。

私的自治の原則は契約自由の原則と過失責任の原則を含むとされている。この契約自由の原則や過失責任の原則を民法の基本原則に加えることもあるし、所有権絶対の原則、契約自由の原則、過失責任の原則の3つを基本原則とすることもある。

権利等の原則
すべての人は等しく権利義務の体となる資格(権利力)を有するという原則
私的自治の原則
私的な法律関係については個人の自由な意思に基づいて形成することができるという原則
所有権絶対の原則
所有権は他人や権力の支配を受けないという原則
契約自由の原則
契約の内容、方式、相手方、締結するか否かは自由に決められるという原則
過失責任の原則
人は故意又は過失により他人に損を生じさせた場合のみ、損賠償責任を負うという原則

なお、基本的人権公共の福祉によって制限されるように、原則には例外があるのが常である。これらの原則は現在では様々な修正が加えられ、多くの例外ができている。それらの修正は別の法律によって規定されるものもあるが、民法自体に規定されているものもある。

構成

民法は大きくわけて総則、物権、債権族、相続の5つの編からなり、このうち総則、物権、債権財産関係について規定しているため財産法とよばれ、族、相続家族間の関係について規定しているので家族法とよばれている。

第一編 総則

民法全体にかかわるような一般的規定をまとめたものである。ただし、財産法に関する規定が多いため財産法に分類されることが多い。

このように一般的規定を最初に総則として規定する民法の形式をパンデクテン方式という。パンデクテン方式は体系的で重複の少ない条文の構成にできるかわりに、初学者にはわかりにくくなりがちであり、現在では採用しているは少ない。なお、日本の民法では民法全体の最初に総則が規定されているだけでなく、第二編から第五編の最初にも総則が置かれており、さらに細かく分けた章にも総則が置かれることもある。

この編では第一章から第七章まであり、それぞれ通則、人、法人、物、法律行為、期間の計算、時効について規定している。

第二編 物権

物権とは物を直接的排他的に支配する権利のことをいう。所有権が代表的である。一つの物に対しては一つの所有権しか成立せず、所有権者は物が他人に奪われた時には返還請をすることができる。

物権は法律に定められたものしか認められれず、当事者同士の合意によって新たに創設したり内容を変更したりすることは出来ない。

民法においては、占有権、所有権、地上権、永小作権、地役権、入会権、留置権、先取特権、質権、抵当権の10種類の物権が規定されている。このうち地上権、永小作権、地役権、入会権は他人の物を使用・収益する物権ということから用益物権といい、留置権、先取特権、質権、抵当権は債権の担保を的とする物権ということから担保物権という。

第三編 債権

債権とは特定の人に対して一定の行為を請する権利のことをいう。物権はに対してもできるのに対し、債権は当事者間でしかできないのが特徴である。なお、債権の相手方は一定の行為を請される義務を負うがこれを債務という。

債権は原則として契約により自由にその内容を決めることができる。ただし、特定の形式の債権については、法律により制限が加えられる場合もある。

また、契約以外の要因、たとえば事務管理、不当利得、不法行為などにより債権が発生することもある。たとえば交通事故被害者加害者に対して損賠償請権を持つがこれも債権の一種である。

民法においては、契約のうち特に典的なものとして贈与、売買、交換、消費貸借、使用貸借、賃貸借、雇用、請負、委任、寄託、組合、終身定期金、和解の13種類を典契約としてその内容について定めている。ただし、別の法律で民法と異なる規定をしているケースもある。たとえば、宅地や建物の賃借については借地借法で規定されている。このような場合には別の法律(特別法)のほうが優先される。

第四編 親族

族とは6等以内の血族、配偶者、3等以内の姻族のことをいう。

等とは族関係の近さを表す尺度であり、たとえばや子なら1等、祖や孫、兄弟姉妹は2等になる。血族とは血のつながりがある者をいうが、養子のように法律上の血族もいる。配偶者とは夫から見た妻、妻から見た夫のことである。姻族とは一方の配偶者と他方の配偶者の血族の間に生じる関係のことである。たとえば、配偶者のは1等の姻族になる。

この編では総則のほか、婚姻子、権、後見、保佐及び補助、扶養について規定している。

第五編 相続

相続とは、ある人が死亡した時に、その人の権利義務関係が他の人に包括的に受け継がれることをいう。

権利義務関係を受け継ぐ人を相続人といい、権利義務関係を受け継がれる人、つまり死亡した人を被相続人という。相続においては権利だけでなく義務も受け継がれるため、借金なども相続の対となる。ただし、相続に寄って取得する財産の範囲で義務を負うとする限定承認や相続の放棄といった制度がある。

この編では総則のほか、相続人、相続の効力、相続の承認及び放棄、財産分離、相続人の不存在、遺言、遺留分について規定している。なお、相続税については別に相続税法で規定している。

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