遷都とは (セントとは) [単語記事]

遷都とは、首都を他の土地へ移すことである。

概要

都、または首都を他の場所へ移すことを遷都という。

日本における遷都

古くからは歴史の教科書にも出ている奈良時代の平城京の遷都、平安時代の長岡京、平安京の遷都が有名である。

710年、元明天皇（げんめいてんのう）のとき、都が藤原京から平城京に遷都された。このころは唐の影響を強く受けていたので、唐の都長安にならって平城京が造営された。この時、国産初の貨幣、和同開珎（わどうかいちん）が発行されたことも有名である。

そして桓武天皇(かんむてんのう)は、都を奈良から山背国（やましろのくに）に移すことを計画した。これは律令政治の再建を進めるためである。784年（延暦3）に都を長岡京（ながおかきょう）に遷すが、桓武天皇の周囲で不吉な事件が相次ぎ、天皇に不満を持っているとされ誤って捕らえらその後死亡した、桓武天皇の弟、早良親王（さわらしんのう）の怨霊が災いを起こしてるのではないかと協議された。

その後、災いの地から都を遠ざけるため、793年（延暦12）和気清麻呂（わけのきよまろ）により再び遷都となった。794年（延暦13）長岡より北の地に遷都を決行。これが平安京となった。

首都機能移転

現代の日本においては、最近では遷都は『首都機能移転』で知られている。

これは厳密ではないが、『機関の一部だけの移転であり、遷都ではない』、とする意見と、『国の中枢機関を分権するのであるから遷都である』とする意見があるため以下記述する。

1998年、東京に集中する政府機能の一極集中を解消するため、首都(機能)移転が計画され、移転先としていくつかの候補地が挙げられた。

当時の、「国会等移転審議会」は、首都機能移転先の調査対象地域に３地域を選び、

北東地域（宮城・福島・栃木・茨城県に連なる地域）
東海地域（静岡県・岐阜県・愛知県に連なる地域）
三重・畿央地域（三重県・滋賀、京都、奈良県境に連なる地域）

が挙げられた。しかしこれはほんの一部であり、全国で一番離れたところでは北海道の千歳空港周辺も挙がっていた。（航空自衛隊等軍事が絡んでいたために国会では敬遠されていた）

新首都に近い地域に利益をもたらすか、首都からの距離による地域間不公平をなくすか。広い土地の大規模な開発を行うか、または既存の施設を有効利用して新たな投資は最小限に抑えるか、東京と連携の取りやすい場所がいいか、または東京とは独立した地域圏がいいかなどが論点である。

環境、経済、費用、自然災害時のリスクなど様々な問題を抱えたこの移転は、2002年、小泉純一郎元首相が在任中に凍結を表明した後に、当時国会等の移転に関する特別委員会委員長だった石原健太郎議員（福島県選出）が凍結裁決をせず、辞任したところから凍結を回避した。だがしかし翌年の2003年に小泉元首相により事実上凍結された。