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【初級編】CVR改善の必須ツール、ヒートマップとは?

2025.02.07

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Webサイトは購入やリード獲得の成果を生み出す重要なチャネルであり、注力施策のひとつと位置付けている企業も多いのではないでしょうか。WebサイトのUIUXや成果改善はさまざまな手法がありますが、その手法の一つにヒートマップ分析が挙げられます。ヒートマップ分析は、視覚的にユーザーのページ内行動を分析することができますが、その一方で、ツールの設定や分析の仕方を理解していないと有効性を感じにくいツールでもあります。そこで、本記事ではヒートマップ分析初級編と題して、ヒートマップツール「Ptengine」を提供しているPtmind社による監修のもと、ヒートマップの特徴を解説します。

ヒートマップでできること・できないこと

- ランディングページやページ内のユーザー行動を可視化し、UI/UXやCVRを改善

ヒートマップは、サーモグラフィや図でページ内のユーザー行動を可視化することができるアクセス解析ツールです。Google アナリティクス 4(以下、GA4)のように数値だけで可視化するのではなく、ページ内のユーザー行動を色でも可視化します。マウスの動きやスクロール、クリックなどのユーザー行動を直感的に理解することができるので、専門知識がなくても利用することができます。ヒートマップでページ内のユーザー行動を可視化することで、ページ内のユーザー行動が想定していた通りのものであるかを確認することができます。想定した離脱率や滞在時間、コンバージョン率などの結果に差異がある場合は、Webサイト改善の余地があるかもしれません。

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(図1:ヒートマップ分析画面1)
画像提供:Ptmind社

ヒートマップでできること

特定のページ内のユーザー行動

コンテンツに対するユーザの反応度と離脱箇所

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(図2:ヒートマップ分析画面2)
画像提供:Ptmind社

ヒートマップでできないこと

Webサイト内回遊状況の分析

GA4の「経路データ探索」レポートのようにユーザーのサイト内回遊を詳細に分析することができない

ユーザーの心的な分析

ユーザーがなぜそのコンテンツに反応したのか、心的な要因を推測することができない

ヒートマップの代表的な機能と見方

ヒートマップに搭載されている機能は、[アテンション(熟読率)][クリックデータ(クリック率)][スクロール到達(離脱率)]の3つが主流です。ツールによっては、ABテストやポップアップバナー表示など特徴的な機能がついているものもあります。ここでは主流とされる3つの機能を紹介します。

- アテンション(熟読率)機能

アテンション(熟読率)は、サーモグラフィでページ内の特定のコンテンツを注視した時間に比例して色が変化するものです。そのコンテンツに対するユーザーの情報感度を把握する時に役立ちます。

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(図3:アテンション(熟読率)機能のイメージ)
画像提供:Ptmind社

<アテンション(熟読率)の見方>
ページ内の各コンテンツを注視した時間がサーモグラフィで可視化されます。可視化されるカラーは、青・黄緑・黄色・オレンジ・赤で表示され、色が暖色になるほど注視時間が長く、寒色になるほど注視時間が短いことを意味します。
つまり、暖色エリアはユーザーにとって関心度が高い情報であり、寒色エリアはユーザー関心度が低い情報、もしくは目につきにくい情報となっていることがわかります。仮に寒色エリアに最も伝えたいコンテンツがある場合は、コンテンツの位置を見直すなどの改善施策を検討する必要があります。

- クリックデータ(クリック率)

クリックデータ(クリック率)は、ボタン、画像、それ以外のものにクリック(スマホならタップ)がどのくらい集中しているかがわかるデータです。ユーザーがそこをクリックしているということは、その情報をもっと知りたい、またはその先に行きたいというニーズを把握することができます。

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(図4:クリックデータを元にしたヒートマップ分析画面)
画像提供:Ptmind社

<クリックデータの見方>
コンバージョンにつながるCTAボタンや、バナー、テキストリンクなどのクリック率がサーモグラフィーやクリック数、クリック率で可視化されます。サーモグラフィーで可視化される配色はアテンション(熟読率)と同様ですが、暖色ほどクリック数が多く、寒色ほどクリック数が少ないことを意味します。つまり、ページ内で誘導したい場所が暖色の場合は狙い通り、寒色になっている場合は、クリック数を増やすための改善施策を検討する必要があります。

- スクロール到達率(離脱率)

スクロール到達率(離脱率)は、ファーストビューからページ下部まで、どのコンテンツにどのくらいのユーザーが残っているかがわかります。スクロール到達率の見方は、画面内に横線が引かれてあり、パーセンテージで数値が表示されています。このパーセンテージがページ内に残っているユーザーの残存率を表しているので、パーセンテージが減った分だけユーザーは離脱したということを意味します。この「離脱」の定義は、別ページにサイト内回遊したという意味ではなく、Webサイトやランディングページから去ったということです。

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(図5:スクロール到達率の分析画面)
画像提供:Ptmind社

<スクロール到達率の見方>
特定ページのファーストビューからページ下部の範囲で、ユーザーが離脱したポイントがわかります。スクロール到達率は、他の機能と異なり数値で可視化され、表示されている数値はそのポイントで残留しているユーザーを意味します。例とえば、ファーストビューからセカンドビューまでのスクロール率が30%の場合、70%のユーザーはファーストビューのコンテンツでそのページから離脱していることがわかります。つまり、ファーストビューの情報設計を改善するか、セカンドビューにスクロールするための改善施策を検討する必要があります。

導入するなら、ヒートマップのような分析だけでなく、コンバージョン率改善に効果的なABテストやポップアップバナーなどの機能も搭載したツールがおすすめ

- コーディング知識不要でABテストが可能

ヒートマップはページ内のユーザー行動を可視化し、どこが改修ポイントなのかを明らかにすることに最大のメリットがあります。しかし、コンバージョン率や滞在時間の改善は、特定ページの改修前と改修後の分析を比較しないと正しく評価することができません。さらに、配信期間に外部的な要因が影響することもあり、ヒートマップによる改修を正当に評価することが難しくなる場合もあります。このような事象を回避するために、外部要因の影響を受けにくい、ABテストの実施が有効です。

ヒートマップツールによっては、管理画面上で検証用のパーツを制作したり、各コンテンツの配置を入れ替えることもできます。このようなツールは、直感的に操作することができ、簡易的な改修であればHTMLなどの専門知識がない人でも簡単にABテストを実施することができます。

ただし、新規でコンテンツを作って検証したり、動的なコンテンツで検証したいなど複雑な構成の場合には、別途検証用のページを制作してから、管理画面でABテストの設定をする必要があります。検証用のページは、デザイナーやコーダーに依頼する必要がありますが、ツールの提供会社によっては検証用ページの作成支援をおこなっている場合もあります。

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(図6:ABテスト結果画面、ノーコード編集画面、実際の配信画面)
画像提供:Ptmind社

- 特定のページ内でポップアップやバナーの表示もできる

ヒートマップツールの中には、そのページ内でポップアップバナーの表示を設定できるものもあります。ポップアップバナーをWebサイト内の特定のページに設定することで、キャンペーンなどの特設ページや商品ページ、ランディングページなどへの遷移を促すことができます。

さらに、定性調査を取りたい場合も有効活用できます。このポップアップバナーの機能を使えば、選択式でアンケートを取ることも可能です。コンバージョンポイントを持たない商材で、認知度やお客様のニーズを把握する場合に効果を発揮します。

ポップアップバナーは管理画面で目的に合わせてテンプレートが用意されていることが多いため、デザインにこだわりがない場合はデザイナーに用意してもらう必要もありません。

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(図7:ノーコードバナー編集・作成画面と実際の配信画面)
画像提供:Ptmind社

Hakuhodo DY ONEでもおこなう分析手法を一部公開

- 新規ユーザー・再訪問ユーザーで分析

管理画面でセグメント設定をすることで、新規ユーザーと再訪問ユーザーにわけて、分析をおこなうことが可能です。

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(図8:初回訪問 vs 再訪問 – それぞれの課題と改善機会を調査)
画像提供:Ptmind社

商材によって傾向が変わるため一概にいえませんが、新規ユーザーと再訪問ユーザーではページ内行動に違いが現れます。たとえば、新規ユーザーは商材の強みを説明するコンテンツに反応しているが、再訪問ユーザーはキャンペーン情報に反応する、などセグメントによって興味・関心が異なることがあります。
※ヒートマップツールや加入プランによって利用できる機能が異なる場合があります。

- コンバージョンユーザー・非コンバージョンユーザーで比較分析

セグメント設定は、コンバージョンユーザー・非コンバージョンユーザーの軸で分析をすることも可能です。管理画面で、コンバージョン地点となるものにイベント設定をすることで、その地点でのコンバージョン発生有無で比較分析をすることができます。

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(図9:CVユーザー vs 非CVユーザー比較による購買理由の調査)
画像提供:Ptmind社

コンバージョンユーザーと非コンバージョンユーザーもまた、ページ内行動に異なる傾向が出ることがあります。たとえば、コンバージョンユーザーはその商品の特長に反応している一方で、非コンバージョンユーザーは料金プランに反応していることがあります。

また新規ユーザー、再訪問ユーザーと掛け合わせて分析することもできるため、ファネルごとに受け皿となるページをつくり分けたり、マーケティング施策の幅を広げることができます。

- 流入元・デバイス・指標別で分析

ヒートマップが計測するデータは、流入元、デバイス比率、UU、PV、滞在時間、直帰率など、GA4で計測できる指標データも抽出することができ、定量的な分析ができることも特徴です。

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(図10:流入文脈で変わるユーザーの関心)
画像提供:Ptmind社

EC系の商材であれば、流入やコンバージョンがスマホから発生することが多いため、ヒートマップもスマホを中心に、コンバージョンユーザー・非コンバージョンユーザーとセグメントごとに分析すると良いでしょう。これはヒートマップだからこそできることです。

このようにヒートマップは特定のページ内におけるユーザー行動を定量的に分析することができるため、コンバージョン率改善に最適なツールのひとつといえます。

ページの改善によって CVR を向上したい場合はヒートマップの利用がおすすめ

Webサイト改善に取り組んでいるにも関わらず、商品購入や新規会員登録数など自社でコンバージョン地点とするKPIの改善に伸び悩んでいる場合は、ページ最適化を改善することで、成果が向上する可能性があります。

特に多いのが、GA4を導入しているものの、成果が改善しにくいということ。
当社にいただくご相談でもそのような課題が非常に多いです。GA4はアクセス解析やサイト内回遊などを細かく分析することに長けていますが、改善の対象となるページの目星がついても、具体的にどのように改修したら良いのか判断がつきにくくなります。

当社では、ヒートマップの導入やGA4との掛け合わせ分析、Webサイトへの実装をおこない、クライアント企業様のコンバージョン率の改善を支援しています。

コンバージョン率やUI/UXの改善で、具体的にどのようにページ改修したら良いかお悩みがある場合は、お気軽にお問合せいただければ幸いです。

この記事の著者

伊東 陽平

出版業界で編集者・ライターを経て、広告代理店でWEBディレクターに転身。LP、比較サイト、オウンドメディア、ホームページなどの制作をおこない、マネージャーとなる。アイレップ入社後、クリエイティブの戦略設計やUXデザインなどキャリアを広げ、全社組織PJTや案件統括などにもコミット。

出版業界で編集者・ライターを経て、広告代理店でWEBディレク...

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