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ザ・ルーム・ネクスト・ドア

劇場公開日:

ザ・ルーム・ネクスト・ドア

解説・あらすじ

スペインの名匠ペドロ・アルモドバルによる初の長編英語劇で、2024年・第81回ベネチア国際映画祭で最高賞の金獅子賞を受賞したヒューマンドラマ。ティルダ・スウィントンとジュリアン・ムーアという当代きっての演技派の2人が共演し、病に侵され安楽死を望む女性と、彼女に寄り添う親友のかけがえのない数日間を描く。

重い病に侵されたマーサは、かつての親友イングリッドと再会し、会っていなかった時間を埋めるように、病室で語らう日々を過ごしていた。治療を拒み、自らの意志で安楽死を望むマーサは、人の気配を感じながら最期を迎えたいと願い、“その日”が来る時にはイングリッドに隣の部屋にいてほしいと頼む。悩んだ末にマーサの最期に寄り添うことを決めたイングリッドは、マーサが借りた森の中の小さな家で暮らし始める。マーサはイングリッドに「ドアを開けて寝るけれど、もしドアが閉まっていたら私はもうこの世にはいない」と告げ、マーサが最期を迎えるまでの短い数日間が始まる。

「フィクサー」でアカデミー助演女優賞を受賞し、アルモドバルの短編英語劇「ヒューマン・ボイス」にも主演したティルダ・スウィントンがマーサを演じ、「アリスのままで」でアカデミー主演女優賞を受賞したジュリアン・ムーアが親友イングリッド役を務めた。

2024年製作/107分/G/スペイン
原題または英題:La habitacion de al lado
配給:ワーナー・ブラザース映画
劇場公開日:2025年1月31日

オフィシャルサイト

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第82回 ゴールデングローブ賞(2025年)

ノミネート

最優秀主演女優賞(ドラマ) ティルダ・スウィントン
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(C)2024 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved. (C)El Deseo. Photo by Iglesias Mas.

映画レビュー

3.5変わった座組のアルモドバル映画

2025年2月28日
PCから投稿

アルモドバルは英語圏でもやっぱりアルモドバルな映画を撮るという印象は、短編だった『ストレンジ・ウェイ・オブ・ライフ』から変わらないのだが、主演の2人の演技の上品さもあって随分とさっぱりした映画になっというか、やはりスペインの役者と撮っているときの方が純正のアルモドバルだなとは思ってしまった。もちろんティルダ・スウィントンもジュリアン・ムーアも申し分なく魅力的で、ジョン・タトゥーロだっていい異物感だと思ったけれど、英語圏の演技とスペイン人の演技は本質的に何が違うのだろうかと興味深く考える機会になった。またすべてのカットがアルモドバル的であるにも関わらず、アルモドバル汁が『ストレンジ・ウェイ・オブ・ライフ』より希薄だと思ってしまったのは、単にテーマが違うからという理由かも知れないし、今回の作品のほうが年齢的な成熟が反映されやすくてソフィスティケイトされたのかも知れない。いずれにしても、本作みたいに変わった座組のアルモドバル映画はもう数本は観てみたい。

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村山章

4.5どう死ぬかは、どう生きたかということ

2025年1月31日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

泣ける

知的

自分の命が残り少ないと察知した女性が、最期の日々をかつての親友に託して旅立とうとする。尊厳死、安楽死というワードで括られがちな映画だが、よく見るとそうではなく、どう死ぬかというテーマは、どう生きたかに繋がり、看取る側も自分の人生とどう向き合うかについて言及した、アルモドバルらしい斬新な視点がここにはあった。

そして今回も、アルモドバルは使う服や食器の色彩、部屋に飾られたアート、小説、映画を使って、観客の五感を常に刺激する。すべてに意味があるのだ。1度観ただけではなかなか全部理解できないのだが。

中でも最も斬新な提案は、死ぬ間際まで人は美しくあれ!ということだと感じた。それは死期が迫るほどに美しく、細く、カラフルになっていくティルダ・スウィントンに象徴されている。

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清藤秀人

3.0かなり物足りない

2025年4月12日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

ヴェネツィア金獅子のアルモドバルにティルダスウィントンとジュリアンムーアでテーマが安楽死と言うことで期待値をダーンと上げてしまったのを見逃し続けてようやく観れたが、そこまで面白くなかったな。
それくらいイメージではマスターピース感あったので。

タイトルは某ガールズグループと間違えそうになるけれどいいタイトル。原作があるんですね。とても文学的。そして作家と記者?の設定なので会話もとても文学的というか知的。なるほど、尊厳死考えそうな感じはある。

段々と痩せゆくティルダはどんどん妖精か幽霊かわかんなくなるくらい凄みがありつつ、肝心の薬を置いてきたり、こうしたら死の予兆よ、みたいなことを言うので引っかかったり意外に遊んでるのがイタリア人だなあ。ホッパーの絵が出てくるけど、ベランダのソファの色と服の色、肌の色、髪の色、そんなところがアルモドバルでしたね。とは言えやはり物足りない。

アメリカだからか。。

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ONI

4.54番目の友

2025年4月12日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

癌を患うマーサが計画的な死を選ぶことを決意し、病気の噂をきっかけに再会した旧友・イングリッドに残りの日々の立ち合いを依頼する物語。

映像美や静謐な空気感、死を扱いながらも悲劇で終わらず生者の物語として〆る点など、映画としてはとても良いものだと思う。
旧交を温める思い出の話題と、人生を締めくくる回顧の話題が交互に出たり、ジャーナリストとして事実と共にあったマーサと作家として感情と共にあったイングリッドの対比も面白い。終わりを選んだ人の後始末について触れるのも、扱った問題を美化するつもりはないというスタンスが見える。

そうして映像作品としてもシナリオとしても優れ、丁寧に作られているだけに、ただ一つ、非常にマーサファーストな世界観が引っかかった。
母親不在のシングルマザー家庭で娘が父親を求める態度を「しつこい」と評し、治験の意義を無視して投げ出す点はまだしも、犯罪幇助に問われそうな形で友人を巻き込むのはマーサの人物像との矛盾を感じた。また、ストーリー上のイングリッドがあまりにも『理解あるイングリッドちゃん』で、イマジナリーなのではないかと疑った。
マーサを知性と思考力を持つ自立した人として繰り返し描写している分、旅立ち方を決意するまでの準備の甘さや大人らしからぬ振る舞い、イングリッドの都合のよさが悪目立ちしていて、ティルダ・スウィントンのような超然とした役者でなければマーサの印象は違ったように思う。登場人物達と自分では『自立した大人』像が違うのかも知れないし、マーサの振る舞いこそが安楽死や尊厳死に対する作り手のアンサーなのかも知れないが。

その他、死を恐れるイングリッドが介護でも看護でもない形の看取りを経験することで成長する点や、病気と闘うことを当たり前とする同調圧力や強いサバイバーであることを尊ぶ風潮へ疑問を投げかける点など、鑑賞後に掘り下げたくなるような魅力的なポイントも多く、得るものが多い作品だったと思う。

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