恐ろしく美しい悪夢のような子ども時代描くカルト作「柔らかい殻」、デジタルリマスター版で10月4日からリバイバル上映
2024年8月15日 17:00

イギリスの鬼才、フィリップ・リドリーによる初監督作品にしてカルト的人気を誇る「柔らかい殻」が、10月4日からデジタルリマスター版で初のリバイバル上映が決定した。
1990年の公開時、ロカルノ映画祭では銀豹賞を含む5つの賞を受賞、シッチェス国際ファンタスティック映画祭で最優秀女優賞、最優秀撮影賞を受賞ほか各国の映画祭でセンセーションを巻き起こした本作は、絵画、小説、舞台、児童文学とジャンルを超えて才能を発揮、その独特な幻想的世界で人々を魅了し続けているイギリスの鬼才、フィリップ・リドリーが自ら脚本と監督を手掛け、その強烈なイマジネーションを余すことなくスクリーンで解き放った初の長編監督作品だ。
物語の舞台は50年代のアイダホ州。一面に小麦畑が広がる田舎町に育った8歳のセスは表面的には平和な生活を送っている普通の少年だ。しかし、ある日友達が何者かに殺されたことをきっかけに、異常と不穏が何もかもを包み込んでゆく…。絵画のような金色の小麦畑と青い空を背景に、一見不合理なようにも思える暴力や性、痛みに満ちた大人たちの世界と恐ろしい出来事を、あくまでも幼い少年の瞳を通し幻想的、耽美的に描く。

主人公セスの兄を演じるのは「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズ以前の若きビゴ・モーテンセン。彼にとって本作はキャリア初期のもっとも重要な作品の一つだ。セスが吸血鬼だと疑う、一人で暮らすイギリス人女性ドルフィン役にはローレンス・オリヴィエ賞受賞者で、「アリス・イン・ワンダーランド」「アバウト・タイム愛おしい時間について」など舞台、映画で活躍する名女優リンジー・ダンカン。セスを演じるのは当時9歳のジェレミー・クーパーで、一度見たら忘れられない表情を見せつける。
また、今回の上映素材は年にリドリー監督の監修のもとリマスタリングされたもので、監督自身が「映画がそのとおりの姿をしている。何もかもが、世界がまだ若かった頃と同じように見え、聞こえている」と感激したデジタルリマスター版となる。10月4日からシネマート新宿ほか全国順次公開。
1950年代のアイダホ州、小麦畑が広がる田舎町。気弱な父と厳しい母と三人で暮らすセスはごく普通のやんちゃな男の子。ある日、セスは友人のイーブンとキムと共に孤独なイギリス人女性ドルフィンに仕掛けたいたずらがばれ、母に謝りに行かされる。ドルフィンの家は捕鯨の銛や骨で埋め尽くされており、彼女が語る亡き夫への愛や悲しみの話は衝撃的で、父が読んでいた吸血鬼小説の絵に彼女がそっくりだったことから、セスはドルフィンが吸血鬼に違いないと思い込んだ。そんなある日、行方不明になったイーブンの死体が井戸で発見されるという事件が起こる。セスはドルフィンを疑うが、自分の父に容疑がかかり、悲劇が連鎖してゆく。
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