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陸自練馬駐屯地にて、謎水なるニセ科学製品の入札公示と急きょ公示取消しがあったようです。
ニセ科学はともかく、役務調達要求仕様書と契約制度の問題が結構あるなあ・・・
図1 謎水?
引用URL:https://www.irasutoya.com/2019/03/blog-post_927.html
似たようなものは私の現職時代も結構持ち込まれたりしています。
まあ大抵指揮官クラスが、トップダウンで持ち込むんですよね〜!
(前回記事):『KN-23がウクライナで使われるとは!【世界情勢】』
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(1)謎水入札公告と公示取り消しまで
2024年1月22日に、有志の手で練馬駐屯地の地方調達にて謎水の入札公告が発見されました。
図2 Twitter
引用URL:https://twitter.com/konamih/status/1749341032939176206
明らかにやべー案件ですが、1月24日に無事に取り消しとなったようです。
1.1 明らかに1社決め打ち案件やな・・・
謎水とかいうニセ科学については、詳しい有識者が多くいるはずなのでお任せします。
問題はこのような案件が、正規の調達要求と入札公示手続きが行われてしまったことです。
図3 指揮官
引用URL:https://www.mod.go.jp/gsdf/jieikanbosyu/lp/missions/common/img/scope/commander_mv.png
自衛隊は指揮命令系統がしっかりしていますが、会計法上の契約行為は別の統制があります。
今回の入札案件は、明らかに一般競争入札→1社入札からの随意契約を狙ったものでしょう。
(物品役務調達要求では、結構ある話)
そこにニセ科学製品が入り込んだという物です。
図4 入札
引用https://www.irasutoya.com/2016/01/blog-post_712.html
公示から入札まで10日というのは、予算決算及び会計令第74条の最低公示期間であり一応基準は満たしています。(ホントに最適基準のみ!)
1社しか製造してないのに一般競争入札にされた時、このような手法は良くあります。
ついでに指摘するなら、1500万円以下の入札予定価格を設定していたと思われます。
物品購入(社給品)込みで予定価格1500万円ぐらいを超えると、国際競争入札の対象となり政府調達になり入札期間は1か月以上取る必要があるためです。
(数年に1回金額が改訂されるため、基準として約1500万円以上があります。)
建設役務工事・修繕役務工事なら約6億2千万円を超えたら、政府調達となります。
WTO(国際貿易機関)の国際競争入札により、公正な国際入札を実施するために定められています。
おそらく練馬駐屯地司令(第1師団副師団長)は、全く聞かされていなかったと思います。
1.2 指揮官クラスがねじ込んだんだろうなあ〜
役務調達要求元や契約担当者(会計隊)は、この手の詐欺まがいの話には十分注意しています。
しかしながら上級司令部指揮官から、「これを何としてでも入れろ!」とねじ込まれることは割とよくある話です。(調達要求現場では恒例行事)
図5 パワハラ
引用URL:https://www.irasutoya.com/2015/07/blog-post_847.html
私ペンギンも造修補給所監督官時代には、何回も経験してねじ込んできた指揮官の身辺背後には怪しげな業者が出入りしてる情報も調達要求元には入ってきます。
(部隊に割り当てられたカネは俺のカネ!ぐらいの軽いノリなんですよね)
今回の場合は相当上位の指揮官からねじ込まれて、やむなく役務調達要求を出したんでしょう。
図6 特記事項
引用URL:https://pbs.twimg.com/media/GEbnu-bbMAAcJB_?format=png&name=medium
特記事項にわざわざ記載することで、要求元は最大限の抵抗をしたといえます。
さらに「官が認める同等品」の項目により、予決例による監督・検査で不合格・契約不履行を期待しているのでしょう。
(監督官・完成検査官が不合格を宣言すれば、未完成で契約不履行に出来る)
会計監査で突っ込まれても、ねじ込んだ指揮官は「そんな要求はしたことない!」と責任逃れすることがほとんどです。
(契約関係職員は日時を入れた文書にしてサインを要求して自衛をしています)
さて今回はどのように後始末が付くか、練馬駐屯地所在部隊の人事に注目です。
1.3 1陸佐以上の不審な人事異動に注目!
今後予想されるのが、第1師団司令部や連隊長が突然人事異動になることです。
図7 人事異動
引用URL:https://www.mod.go.jp/j/press/jinji/2023/1222c.pdf
2023年12月22日に将補の異動があり、第9師団副師団長(将補)が「陸上幕僚監部付」になっています。
今後練馬駐屯地所属部隊の指揮官が、突然異動になった場合その人物がニセ科学にはまった人物でしょう。
後情報の追跡も、結構大事ですよ!
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(2)一般競争入札は詐欺が入り込みやすくなった!
なんでニセ科学などの詐欺同然の商品が導入されるか疑問に思うかもしれません。
しかし一般競争入札導入の弊害として、このようなニセ科学製品が入りやすくなっています。
2.1 書類が整っていると調達要求を拒否できない。
官の契約の欠点として、調達要求書類が整っていると契約担当官は契約行為を拒否できないんですよね。
契約担当官は、要求仕様書に明らかな瑕疵(かし)が無い限り仕様書の内容に口出しできません。
(口出ししたら契約担当官が全部仕様書まで書け!となってしまうため)
「訓練に必要だ!」とエアガンを地方調達して、あとから会計監査で怒られた事例もあります。
そのためなかなか契約担当部署で、ニセ科学製品を差し止めするのは難しいのです。
(業者が法令違反・指名停止措置などになっていれば、契約拒否はできる)
2.2 要求元が信じ込んでしまうとヤバい!
一番ヤバいのは、要求元がニセ科学製品を信じ込んでしまって要求を上げることがあります。
図8 詐欺
引用URL:https://www.irasutoya.com/2014/11/blog-post_57.html
防大出身の指揮官がこの手の話によく引っかかり、調達要求を持ち込むことが結構あります。
(指摘するとすぐに怒る!)
実体験では総監部会計監査官を兼任する造修補給所科長に、護衛艦艦長が話を持ち込んで調達要求を出してきたことがあります。
見事に総監部会計監査課→総監に話がいき、翌日艦長が急遽更迭となったのを体験しました。
カネと物に関しては、マジに1日で指揮官の首が飛ぶくらい厳格な対応が行われます。
けど騙される指揮官が多いんですよね〜。
2.3 防大専門家によるチェック?ワロス!
Twitterの意見の中には、防大応用化学科出身の幹部によるチェックをしては?なんて意見がありました。
図9 防衛大学校
引用URL:https://www.mod.go.jp/nda/education/files/1674200603phples07D.jpg
一般大卒の技術系幹部だった身から言わせると、
『防大卒に一般科学常識を期待する方が間違っている!』
(激しい防大卒へのヘイトスピーチ!)
それくらい防大卒幹部の科学知識は、怪しいものです。
「やめて!化学式を読めない防大幹部もいるのよ!」
(マジにあった話です!)
防大卒幹部の卒論を読んだら、他の大学教員はブチ切れるくらいレベルは低いです。
だから、ニセ科学にコロッと騙されるんでしょうね〜
(海自幹部中級課程での「7つの習慣」みたいな、怪しげなことが流行るわけだ!)
(3)怪しい入札は総務省行政評価局にタレコミだ!
今回の謎水案件は、元防衛副大臣が情報をすぐに指摘してくれたのでうまく取り消しになりました。
今後はどうすべきか?
3.1 会計検査院は契約済みのものしか意見できない
契約関係だから会計検査院だ!と思われるほど、会計検査院の重要性は国民に認知されています。
図10 会計検査院
引用URL:https://www.jbaudit.go.jp/img/report/fy04_kensahoukoku_02.jpg
しかし会計検査院は、入札前・契約前の案件についてはあんまり口出しできないところがあります。
(証拠書類がそろっていないため)
契約済みの案件に対して、会計監査を行うことしかできません。
ではどこに相談すべきか?それは総務省行政評価局です。
3.2 総務省行政評価局は恐怖の存在!
総務省行政評価局は、行政のあらゆることに国民からの相談を受けて各省庁に照会通知をしてくれます。
図11 行政評価局
引用URL:https://www.soumu.go.jp/main_content/000222741.jpg
防衛省の公益通報制度が機能不全である以上、総務省はあらゆる相談に乗ってくれます。
入札内容に疑義があるものでも、十分相談に乗ってくれますよ!
(財務省よりも権限がデカいかもしれません)
さあみんなで怪しい入札情報を監視しよう!
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航空事業部のみならず、海洋事業部や陸事業部にも専門知識以外への関心が薄いB大幹部が結構いたのでかなり頭の痛い問題です。
優秀な人は本当に優秀なのに、それ以外が増えてしまってB大の存在意義が揺らいでいるといえます。
若い幹部は現場での技術開発を経験する機会が少なくなり、幕僚監部に配置された時にマネジメント能力がないまま官側担当となることはいずれ大きな大失敗になるのではないかと危惧しています。
・対艦誘導弾部シーカーの部内研究で協力したとき、後輩のマネジメント能力のなさでTRDI業務をほとんど肩代わりしたことがあります。
(25トンクレーの借り方・試験電波発信申請・作業人員の宿泊3食ホテル手配などなど)
やはり現場に余裕が無くなり、技術とマネジメント経験を積める機会が無くなっているのかもしれません。
自分が主にお付き合いさせて頂いたのが航空事業部だったかもしれませんが、航空事業部大丈夫かと思ったことは一度や二度ではありません。陸や海に珠にいらっしゃるような学者タイプの方にはついぞお会い出来ませんでした。
XASM-3開発の際に仲間内で話題になりましたけど、技術的な知識も勿論ですが、プロジェクトマネージメント能力なんかも昔に比べて落ちているんじゃないか。ちょっと不安になりました。
「閉所戦闘訓練用機材」は市販品とは中身(初速)別物と聞きますから・・・・
その辺を導入したとなるとYですね・・・・・
まぁ、こっちでも敵用にAK導入して双方訓練したら「痣が残った!公務災害申請します!!」と騒いだ人がいたり・・・・
エアガンを訓練用器材として導入することは最近では一般的になりました。
ちょうど怒られが発生したのは、陸自が89式小銃の電動ガンを「閉所戦闘訓練用教材」として中央調達で導入開始を開始した時期でした。
海自でも基地警備訓練用として、地方調達で同一物品(東京マルイ製訓練器材)をに入札公告を出したのが不味かったというのがあります。
(市販89式小銃電動エアガンの調達なら問題が無かった)
会計検査院は、中央調達と地方調達で同一物品を購入することは物品管理と経費上不適切として指摘してきます。
(同じものはまとめ買いせんか〜!と怒られてしまうんです)
ちょうど守屋事案が発覚した時期で、調達要求のチェックが厳しかった時期に購入しようとしたため怒られが起きたという経緯があります。(激変の時代でしたね〜)
その後、各総監部での調達が柔軟に行われるようになりました。
最近では教育隊にもラバーガンが導入されて時代の流れを感じます。
何で怒られたのでしょうか?
全国に一斉配備するのであれば当然中央調達品目かとおもいますが、時代的にまずはやってみようレベルですよね?
金額もそこまで大きいとは思えませんし・・・・
(当時、〇〇隊長から私物で買うけど何買えばいいか相談された人)