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Punisher田中

真夜中の虹のPunisher田中のレビュー・感想・評価

真夜中の虹(1988年製作の映画)
4.3
アキ・カウリスマキの作品、やっぱりよく肌に合っていると思う。
映画として成立させるための必要最低限の内容とドライなショットと小物達。
そしてあまりにもミニマルになっている感情。
どれもが不思議と心地よい。ゆったりとしたムードもフィンランドの牧歌的な風景としっかりマッチしていたし、急がなくてはならない所もまずはコーヒーを啜ってからというマイペースさには学ぶべきところがある。
ここまで描いてる点からわかるように、今作は異質だ。というか、アキ・カウリスマキが異質だ。
面白くしようともしてなければ、ショットにもそこまで気持ちを感じない。
それなのに何故か面白いし、心地のよい不思議な作風。

〇〇をしよう。〇〇にしたい。そういった願望や目標、ビジョンも大事だがそこで型にはまるわけではなく、よりマイペースにゆったり流動的に生きていくのもまたいいのかもしれない。
フィンランド人だからゆったりしているのではなく、あの程よく緩急のある山々やせっかちに開発されていない街がフィンランド人をゆったりとさせているのかもしれない。
タイパが求められるこの時代とのギャップがすごく勉強になる一作。

これだけリラックスしそうなことばかり書いているけども、一応犯罪映画で、主題となる「真夜中の虹」も割とイカれた部分で出るセリフ。
何を求められるわけでも、何をしろというわけでもない。ただありのままが写ったように感じた。個人的傑作。