全く良暇知識なしに鑑賞しました。
1960年代の話。フィンランドの小さな町出身のオリ・マキはボクサー。
最初の場面は、結婚式で帰省したオリ・マキ。
恋人と自転車に二人乗りしたり、式中に村人に「何級だ?」なんて質問されたり、素朴な青年オリが映し出される。
オリはフィンランド初?(地元で行う)ボクシング世界戦が決まっている。
オリはヘルシンキに住むトレナーのエリスの家に住み込み、世界戦に備えるのだが、
ボクシングはとても過酷な格闘技だ。命懸けと言って言い過ぎではない。
1試合の為に何ヶ月も準備しなければならないが、試合はあっという間に終わってしまう。
こんなストイックで劇的なボクシングは、映画の題材になることが多い。
「ロッキーシリーズ」はともより、デ・ニーロもジョン・ヴォイドも横浜流星も赤井英和も(元ボクサーだった💦)など、多くのボクサーがスクリーンで厳しいトレーニングをし、激しい試合に臨んできた。
「人生を賭ける一戦!」
「絶対に負けられない戦いがそこにある!」
そんなかつてのスクリーンのボクサーたちと、本作のオリ・マキは明きに違う。
悲壮感がない。それが感じ難い。
真面目でないのではない。
やる気がないのではない。
彼なりにトレーニングや減量に取り組んでいる。
ただ、世界を取る!相手をぶちのめす!という気持ちにはどうしてもなれない人だっているなだ。
カメラ撮影でエリスから「相手をぶちのめす!みたいな気持ちでポーズしろ!なんて要求され、何となくそんなかっこをするオリだが、、、
だが、ボクサーだからって、誰もが「ロッキーのテーマ」で拳を空に向けて挙げる人ばかりではないのだ。
フィンランド初の国際戦ということで、スポンサーたちは盛り上がる。
ああっ、きっとオリは彼らは失望されるんだろうなってハラハラしながら見ていた。
もっと頑張れ!
パンなんて食うな!(美味しそう😅)
彼女なんかに会いに行くな!
私たちもフィンランドのスポンサーたちと同じようにオリを心配して見ていたが、
オリにとっては、他にもっと幸せを感じる瞬間がある、あったのではないだろうか。
周りは失望させたけど、大切なものを得たオリ、
こんな線でハリウッド映画だと、ドラマチックに描くかもしれない。
しかし、このフィンランド作品はどこまでも淡々と進めていく。とてもドラマチックなお話でさえ、自分のペースを崩さない作風がまるでオリそのもののようだ。
なんかこーゆー映画もいいな。
負けたけど、オリ、好きだな。