#MeToo時代
〈それほど一貫性の見えない人生で、ユリヤは30歳を迎えた。
年の差彼氏との結婚・出産を見据えるか否か、その不安に戸惑う中で思わぬ出会いが…〉
監督はラース・フォン・トリアー監督の甥。国内ミニシアターランキング1位、満席回続出の作品として注目を集めた。
燻る人生、自分を曲げない選択肢。
社会的観念によって緩く縛られる人生を選ぶか、そこから退出するのか。浮気沼に落ちるなどの展開は文字通り"最悪"だが、その背景を丁寧に描くことで露悪的な要素は軽減されていた印象。主人公を通して描く女性の生きづらさだけでなく、男性の生きづらさにもフォーカスするのが意外だった。
時間の止まった街並みの中を走るカットが美しい。こうした、時折混ぜられるファンタジック描写もかなり効いていた。
重めのテーマだったが、現代的価値観に基づいたドラマへの没入度はかなり高い。身近な人が突如スピりだすのヤバ……
様々な生き方が肯定される世になり、それでも人は"迷い"という過程を経る。その罪悪感は傷のように残り続ける。そんな苦しみを抱える人々への赦しがこもった作品でした…………