上賀茂試験地長・森林情報学分野 教授 舘野 隆之輔
2022年度から新たに開講したILASセミナー「里山の物質循環―燃料・肥料・食料から考える―」を、2023年5月28日、8月9日、8月10日の3日間の日程で上賀茂試験地において実施しました。この科目は、全学の主に1回生を対象とした授業であり、今回は9人の学生が受講しました。
初日は、上賀茂試験地の概要説明と「里山の物質循環」に関する講義を行いました。さらに温室や資料館、見本園など試験地見学を行いました。午後には、物質循環に関連した基本的なフィールド調査である毎木調査や樹木識別、土壌調査について野外で学びました。さらに、里山での資源利用について、特に「燃料」に着目して、下刈り体験や薪割り体験、炭窯見学など里山での作業や見学を通して体験的に学びました。
2―3日目は、窒素肥料と食料の関係を物質循環の観点から概説する講義や森林の現存量推定の方法に関する講義を行いました。引き続いて、上賀茂試験地で過去に行われた毎木調査のデータや国内の里山で行われた様々な研究データを用いて、上賀茂試験地の約50haの土地でどのくらいの世帯の燃料を賄うことができるかを試算したり、落葉落枝を堆肥とした場合、どのくらいの肥料を得ることができるのかを試算したりして、発表とレポートの作成を行いました。
また3日目の昼食は、自分たちで割った薪を使い、ロケットストーブで簡単な昼ご飯を作り、ガスや電気に頼らない暮らしの一部を体験しました。
年報20号 2022年度 実習報告