「男」と「女」の違いをしめす構造体は数多あるが、決定的な差異は男女の生殖器の構造に見ることができる。いまさらながらの疑問であるが、似ても似つかない男女の生殖器はどのようなメカニズムで生みだされるのか。
最新の発生生物学の知見で、生殖器の分化のしくみを探っていくと、そこには造化の神の意思さえ感じさせる、なかなか巧妙なしくみがあった。
なんと、人を創造した造化の神は、「最初に男女ともいずれの生殖器になる器官を用意してから、片方をぶっ潰す」というかなり荒っぽい方法を採用していたのである。
- この記事は、『カラー図解 人体誕生』をもとに作成しました。
- 記事中のイラスト、図は、特記したものを除いて『カラー図解 人体誕生』に収載のものです。
なんといっても形が違う! ほかに特徴は?
生殖器官は、大きな特徴を持っている。
男女間の性差が極めて顕著だということである。一見しただけでも、男性のものか、女性のものかが明瞭である。それぞれ、まったく異なる器官を持っているかのごとくにも見えてくる。
男性では尿の通路である尿道の一部を精子の通路として利用している事実もある。尿道もまた、男性が16〜18cmほどの長さなのに対して、女性は3〜4cmにも満たず、ここでも大きな性差を見ることができる。

もう1点、それは、太いか細いかは別にして、泌尿・生殖器の器官はすべて、管そのもの、あるいは管の集合体だという点である。管も単純な管ばかりではなく、部分的にふくらむと袋のようになって、その両端が管につながる。
そのようなわけで、泌尿生殖器に属する多くの器官は、細い管をいやというほどたくさん集めてできているということができる。
たとえば、男性なら精巣、女性なら卵巣・子宮が主要な生殖器官で、精巣で生まれた精子、卵巣で生まれた卵子を運びだす"管"(導管)が精巣であり、卵管である。子宮は管がふくらんだ袋状のものだ。
こうした、管はどのようにして、できてくるのだろうか? はじめから男性は男性の、女性は女性の、袋と管が独立してできるのだろうか? その生い立ちを追ってみたい。