『ハリー・ポッター』にも登場する“羊皮紙”、現実で作ると「めちゃ割高」だった!
完成まで、最低でも3週間かかる高級品ファンタジーの定番アイテム「羊皮紙」
外の世界から切り離された生活を余儀なくされている今、依るべきところは空想の世界。想像、妄想、ファンタジー。何でもありの夢の世界。ファンタジーの世界は様々なアイテムで成り立っている。聖水や賢者の石、王者の剣に宝の地図。それら定番アイテムのひとつとして「羊皮紙」というものがある。
たとえば小説『ハリー・ポッター』シリーズに登場するホグワーツ魔法魔術学校では、紙のノートやレポート用紙ではなく「羊皮紙」が使われている。宿題の分量も、「羊皮紙30センチ分」といった形での指定だ。
「羊皮紙」という言葉には、何か神秘的な響きがある。その単語を見るだけで、魔法の世界に旅立てるような、宝の在処が記されているような期待感が湧く。しかし、そもそも「羊皮紙」とは何だろう。茶色っぽくて、縁が焼け焦げているような、そんなぼんやりとしたイメージしかない人が大多数ではないだろうか。
「ファンタジー」という言葉の語源は、古代ギリシア語の「パンタゼーン」(φανταζειν)。その原義は、「見えるようにする」。筆者は実際に牧場から羊の皮を取り寄せ、自宅の風呂場で羊皮紙に加工して販売していた。その経験を基に、ファンタジーの定番アイテム「羊皮紙」の材料や作り方、さらにはかかる費用までをリアルに紹介することで、ファンタジー世界の一端を「見えるように」してみよう。
西洋では、紙よりも伝統ある羊皮紙
その名の通り、羊皮紙の原料は動物の皮だ。そもそも、モフモフの羊を見て「そうだあれを紙にしよう」と思ったその発想がすごい。もちろんそこに至ったステップや文脈があるわけだが、それにしても不思議だ。